排出削減単位 (Emission Reduction Unit, ERU)
排出削減単位(Emission Reduction Unit, ERU)は、京都議定書に基づく炭素市場メカニズムの一つである共同実施(Joint Implementation, JI)に関連するクレジットです。ERUは、先進国(附属書I国)が他の先進国で実施する排出削減プロジェクトを通じて得られる排出削減量を示します。
ERUの主な特徴
- 共同実施 (JI) プロジェクト:ERUは、JIプロジェクトを通じて生成されます。JIプロジェクトは、二国間または多国間の協力により実施され、参加国間での排出削減効果を分担します。
- クレジットの相互交換:ERUは、各国の排出削減目標を達成するために、他国のクレジットと相互に交換可能です。これにより、柔軟性が高まり、コスト効率の良い排出削減が可能となります。
- 第三者検証:ERUの発行は、プロジェクトの排出削減効果が第三者機関によって検証される必要があります。これにより、信頼性が確保されます。
ERUの仕組み
- プロジェクトの企画と承認:JIプロジェクトは、先進国が他の先進国で排出削減を目指して企画されます。プロジェクト計画は、両国の政府機関によって承認される必要があります。
- 排出削減の実施:プロジェクトが実施され、温室効果ガス(GHG)の排出削減が達成されます。これには、再生可能エネルギーの導入、エネルギー効率の向上、廃棄物処理の改善などが含まれます。
- 検証とERUの発行:プロジェクトの排出削減効果は、独立した第三者機関によって検証されます。検証が完了すると、対応するERUが発行され、プロジェクト参加国間で取引が行われます。
ERUの意義
ERUは、国際的な協力を通じて排出削減を達成するための重要なツールです。共同実施プロジェクトを通じて、参加国はコスト効率の高い排出削減を実現し、京都議定書の目標達成に寄与します。また、技術移転や資金援助を通じて、実施国の持続可能な発展も支援されます。
ERUの課題
ERUの発行と取引にはいくつかの課題も存在します。例えば、プロジェクトの承認と検証プロセスが複雑で時間がかかることや、実際の排出削減効果の評価が難しいことがあります。また、各国の規制や政策の違いにより、プロジェクトの実施が困難になる場合もあります。これらの課題に対処するため、プロセスの簡素化や基準の統一が求められています。
ERUは、国際的な排出削減努力を支援し、地球規模の気候変動対策を進めるための重要な要素であり、今後もその役割は大きいと期待されています。