ダイキン、アスエネへ出資 北米と日本で脱炭素・省エネ分野の事業拡大へ

ダイキン工業(大阪府大阪市)は6月12日、CO2排出量の見える化や脱炭素・ESG経営支援サービスを提供するスタートアップ企業、アスエネ(東京都港区)に出資したと発表した。

今回の出資と協業を通じて、アスエネのサービスとダイキンの省エネ性の高い空調機器や運用ノウハウなどを組み合わせ、企業の脱炭素を支援する循環型ソリューションを北米と日本を中心とするグローバル市場に提供していく。

省エネ施策の計画から実行まで一気通貫

具体的には、両社の協業により、CO2排出量の見える化による現状把握から排出量削減のためのロードマップ策定、高効率な空調機器やエネルギーマネジメントシステムの導入などの省エネ施策の実行まで、一気通貫で実施することが可能となる。さらに、空調・建物の運用を継続的にモニタリングし、改善提案を行うなどライフサイクルを通じた循環型ソリューションを提供していく。

戦略的資本業務提携でグローバル展開を加速

今回、ダイキンとアスエネは、北米と日本を中心とした脱炭素・省エネ分野の事業拡大を目的に、戦略的資本業務提携契約を締結した。

気候変動対策がグローバルで加速する中、建物由来のCO2排出量は世界全体の約2〜3割を占めており、空調や照明などのエネルギー管理の最適化が重要な課題となっている。また、企業の非財務情報の開示に関する規制が強化されていることに加え、投資家や消費者のESGへの関心の高まりを受けて、企業はサプライチェーン全体のCO2排出量を見える化し、削減に取り組むことが求められている。

また、アスエネによると、米国では、州・自治体や民間企業による脱炭素の取り組みが広がっており、気候目標の達成に向けたアクションが「計画策定」から「実行段階」へと移行しつつある。特に、建物や設備におけるエネルギー効率向上の取り組みが活発化しており、高精度な排出量可視化と連動した実行可能なソリューションへのニーズが高まっている。

累計資金調達額は106億円に

ダイキン工業は今回、アスエネの第三者割当増資を引き受け、同社に出資した。これにより、シリーズC2ラウンドまでの投融資におけるアスエネの累計資金調達額は106億円となった。

アスエネは5月、三井住友銀行(東京千代田区)の温室効果ガス排出量見える化クラウドサービス「Sustana(サスタナ)」事業を買収、さらに、三井住友銀行を傘下に持つ三井住友ファイナンシャルグループ(SMBCグループ/東京千代田区)を引受先とした第三者割当増資と株式譲渡取引を実施したことも発表している。

アスエネは、CO2排出量を算定・見える化するクラウドサービス「ASUENE」やサプライチェーンのESG評価サービスなどを提供し、非財務情報の開示や脱炭素の取り組み、ESG経営に必要となる包括的なサービスと専門的なコンサルティングを国内外に展開している。米国には、現地法人「ASUENE USA」を設立し事業展開を推進している。

これまで国内外の20社以上に出資

ダイキンは、世界170カ国以上で事業を展開する空調業界のリーディングカンパニーだ。特に米国市場においては、住宅用全館空調の販売も好調で、空調・冷凍事業で1.5兆円超の売上規模を有している。

同社は戦略経営計画「FUSION25」の成長戦略テーマの1つとして「カーボンニュートラルへの挑戦」を掲げている。その取り組みとして、世界の電力の約1割を消費していると言われている空調に起因する環境負荷の低減が重要と考え、高効率で省エネ性の高い空調機器を世界中に提供してきた。

また、新たな技術開発や高度なソリューション提供のため、2019年11月にスタートアップ企業との協業を推進する組織「テクノロジー・イノベーションセンター CVC室」を設立し、これまで国内外の20社以上に出資をしてきた。たとえば、2022年に電動化に対応する次世代リチウムイオン電池の研究・開発を行う米国発スタートアップ企業に出資、また、2023年に冷媒再生技術の向上に向けて京大発スタートアップに出資している。今後もグローバルで様々な分野の新たなパートナーと強固な関係を構築し、オープンイノベーションの取り組みを加速していく。

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/be337c85-dffd-48c6-a997-19364a675a16

最新情報

最新情報
関連用語
関連動画
  1. Jリーグ公式戦600試合をCO2ゼロ化 ユーラスエナジーHDが3期目

  2. 三菱重工、次世代車両システム開発 製造建設時のCO2排出4割超削減

  3. カーボンニュートラルの必要性高まるも、実践者はわずか2割 電通最新調査

  4. 2025年版環境白書、自然再興・炭素中立・循環経済を同時達成する施策とは

  5. 雪印メグミルク、酪農由来J-クレジットの活用開始 道銀らと連携

  6. ユーカリで国内初の森林経営計画認定 エコグリーンHD

  7. 建設機械の稼働を可視化し、CO2排出量を高精度で算出 飛鳥建設が開発

  8. 大光銀と伊藤忠丸紅鉄鋼、脱炭素経営支援サービス開始 新潟の地域企業向けに

  9. アビバ・インベスターズが炭素除去基金を設立し、プロジェクトと機関投資家を直接結びつける

  10. JAPEX とパートナーが日本で先進的 CCS プロジェクトのエンジニアリング設計を開始

  11. インドネシアが国際炭素市場取引を開始

  12. 三菱重工系、東京都大田区の汚泥焼却所に「カーボンマイナス焼却炉」初導入

  1. 炭素証書 (Carbon Certificate)|用語集・意味

  2. 削減クレジット (Reduction Credit)|用語集・意味

  3. 大阪ガス脱炭素社会の実現へ 研究拠点を大阪に開設 二酸化炭素の年間排出量1000万トン削減目標

  4. カーボンオフセット (Carbon Offset)|用語集・意味

  5. Verra(ヴェラ/ベラ)とは|用語集・意味

  6. 削減ポテンシャル (Reduction Potential)|用語集・意味

  7. ゴールドスタンダード認証温室効果ガス削減プロジェクト(Gold Standard Voluntary Emission Reduction, GS VER)|用語集・意味

  8. トレーディングプラットフォーム (Trading Platform)|用語集・意味

  9. 脱炭素への取り組みを評価する世界基準となる「ACT」=低炭素移行評価の導入を支援する企業が、福岡市に設立されました。

  10. 土地利用変化とは|用語集・意味

  11. バイオマスとは|用語集・意味

  12. ボランタリー市場(Voluntary Carbon Market, VCM)|用語集・意味

  1. CCUSとは(Carbon Capture Utilization and Storage)二酸化炭素回収・利用・貯留|用語集・意味

  2. オフセットクレジット (Offset Credit)|用語集・意味

  3. トレーディングプラットフォーム (Trading Platform)|用語集・意味

  4. グリーントランスフォーメーション(GX)|用語集・意味

  5. 森林再生 (Afforestation/Reforestation, A/R)|用語集・意味

  6. 脱炭素社会実現へ、公明がポイント還元制度など首相に提言

  7. キャップ・アンド・トレード (Cap-and-Trade)|用語集・意味

  8. 【脱炭素】ディズニーも施策を加速中

  9. クリーン開発メカニズム (Clean Development Mechanism, CDM)|用語集・意味

  10. 地球温暖化防止 (Climate Mitigation)|用語集・意味

  11. クリーンエネルギー|用語集・意味

  12. 京都議定書|用語集・意味