クリーン開発メカニズム (Clean Development Mechanism, CDM)
クリーン開発メカニズム(通称:CDM)は、京都議定書の第12条に基づく制度であり、先進国(付属書I国)が途上国(非付属書I国)で温室効果ガス(GHG)排出削減プロジェクトを実施し、その削減量を自国の削減目標に算入できる仕組みです。CDMは、温室効果ガス削減と持続可能な開発の双方を促進することを目的としています。
CDMの主な特徴
- 双方向の利益:先進国は、途上国で実施した排出削減プロジェクトによるクレジット(CER, Certified Emission Reductions)を獲得し、自国の削減目標を達成できます。一方、途上国は、技術移転や資金援助を通じて持続可能な開発を推進できます。
- 認証プロセス:CDMプロジェクトは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のCDM執行理事会によって認証されます。プロジェクトの排出削減量は、第三者機関によって検証され、認証された後、CERが発行されます。
- 多様なプロジェクトタイプ:CDMプロジェクトには、再生可能エネルギー、エネルギー効率化、廃棄物処理、森林再生など、多岐にわたる分野が含まれます。
CDMの仕組み
- プロジェクトの企画:先進国の企業や政府が途上国で排出削減プロジェクトを企画します。
- プロジェクトの登録:プロジェクトは、詳細なドキュメントを作成し、CDM執行理事会に提出します。プロジェクトの環境影響、持続可能性、排出削減量などが評価されます。
- 排出削減の実施と検証:プロジェクトが実施され、排出削減が達成されたことが第三者機関によって検証されます。
- CERの発行:検証が完了すると、排出削減量に応じてCERが発行され、先進国がこれを自国の削減目標に算入します。
CDMの意義
クリーン開発メカニズムは、グローバルな気候変動対策を推進する重要な手段です。先進国が途上国でのプロジェクトを通じて排出削減を行うことで、世界全体のGHG排出量の削減に寄与します。また、途上国の持続可能な発展を支援することで、経済的・社会的な恩恵ももたらします。
CDMの課題
CDMにはいくつかの課題も存在します。例えば、プロジェクトの認証プロセスが複雑で時間がかかることや、すべてのプロジェクトが本当に持続可能な開発に寄与しているかどうかの評価が難しいことがあります。これらの課題に対処するため、プロセスの簡素化や評価基準の見直しが進められています。
クリーン開発メカニズムは、国際的な協力を通じて気候変動に取り組むための有効な手段であり、今後も重要な役割を果たすことが期待されています。