東京都、ブラザー工業など3事業者のグリーン水素の率先利用を認証

東京都は10月15日、グリーン水素を利用する事業者を認証する制度において、新たにブラザー工業(愛知県名古屋市)、野村不動産(東京都港区)、東日本旅客鉄道(JR東日本/同・渋谷区)の3事業者を新たに認証したと発表した。

この制度では、東京都内で前年度1年間に一定量のグリーン水素を利用した事業者を認証し、年間500Nm3以上の利用に対しては奨励金を支給する。認証事業者はロゴマークを用いたPRができる。

燃料電池を自社で生成したグリーン水素で稼働

今回3事業者は、自ら製造または国内で製造されたグリーン水素を都内の事業所などで利用する「少量利用型」区分で認証された。

ブラザー工業は、東京支社(東京都中央区)に設置したブラザー製の燃料電池を自社で生成したグリーン水素で稼働させており、この取り組みにより認証を取得した。今後都内を含む関東近隣の顧客への普及を目指している。

同社は、バックアップ電源向け燃料電池システムを開発している。この燃料電池には非危険物として認定されている水素吸蔵合金を使用した燃料カートリッジを採用しているため、水素を運搬する際の危険物取り扱いに関する資格が不要で、安心安全な水素管理が可能となる。

同社は、CO2を排出しない水素燃料電池の開発とともに、水素利活用の促進に取り組んでいる。さらに、瑞穂工場(名古屋市)では、太陽光パネルで発電した電力で水電解水素製造装置を稼働させてグリーン水素を生成し、水素吸蔵合金を利用した燃料ケースに充填したのち、利用者のもとへ輸送をしている。また、2023年には水素利活用を推進するブラザーの取り組み全てを象徴するブランド「PureEne(ピュアエネ)」を立ち上げ、活動を強化している。

水素を活用したバックアップ電源の仕組み(出所:東京都)

水素を活用したバックアップ電源の仕組み(出所:東京都)

カセット式の水素吸蔵合金カートリッジ(出所:東京都)

カセット式の水素吸蔵合金カートリッジ(出所:東京都)

見える形でグリーン水素の利用を発信

野村不動産とJR東日本は、共同で推進する大規模複合開発「BLUE FRONT SHIBAURA」における、グリーン水素発電システム(G-HES)の取り組みで、認証を取得した。

この取り組みでは、歩行者専用道路「GREEN WALK」沿いに設置した太陽光パネルによりグリーン水素を製造し、燃料電池発電により各設備へCO2フリーな電力を供給している。グリーン電力はGREEN WALK内の水景ポンプ、照明、共用コンセント、屋外ミストに供給している。多くの人々の目に見える形でグリーン水素の利用を発信。都市部における地産地消型の再エネ活用を実現し、災害時のレジリエンス強化も図ることで、カーボンニュートラルの社会実装を目指している。

2025年3月より本稼働して以来、8月末時点でグリーン水素利用量は800Nm3に達している。今回の認証では、申請対象期間となるシステム稼働時間が短いため、「少量利用型」認証区分とあったが、来年度は「オンサイト型」(地産地消)認証区分で申請する予定。

グリーン水素発電システム概要写真(出所:東京都)

グリーン水素発電システム概要写真(出所:東京都)

グリーン電力供給先(左)と供給先設備(右)(出所:野村不動産)

グリーン電力供給先(左)と供給先設備(右)(出所:野村不動産)

「グリーン水素率先利用事業者認証制度」とは

東京都では、再生可能エネルギー電力由来の水素(グリーン水素)の活用促進を図っている。その一環として、グリーン水素を率先利用する事業者を認証する国内初の制度として、2024年度から「グリーン水素率先利用事業者認証制度」を実施している。

グリーン水素を利用する事業者等の認証は、

  1. オンサイト型(地産地消)
  2. オンサイト型(地産地消以外)
  3. オフサイト型
  4. 少量利用型(年間500Nm3未満)

の4区分で行う。年間500Nm3以上の利用に対しては、利用量に応じた奨励金を交付する。

これまでに、オンサイト型では、大林組(東京都新宿区)と清水建設(同・中央区)が認証されている。大林組は、技術研究所(同・清瀬市)で、太陽光エネルギーを利用してグリーン水素を製造する水素エネルギーシステムを構築し、製造、貯蔵、利用の各段階で実証を行っている。2023年度の大林組の都内でのグリーン水素利用量は、オンサイト型の基準を超えたことから、この認証を取得した。

世界に誇る水素社会・東京を実現へ

新たに認証した3事業者に対する認証式が10月14日に開催された。小池 百合子東京都知事は、「水素の利活用を進める取り組みは、着実に広がっている。たとえば交通分野では、都内ですでに水素バスが135台、トラックは132台走っている。また、2030年度までに燃料電池タクシーを約600台導入するなど、商用モビリティを軸とした『TOKYO H2 プロジェクト』も先日始動したところである」と紹介。先進的な取り組みを展開する人々の尽力で一層弾みがつくことに期待を示すとともに、「世界に誇る水素社会・東京の実現に向け、ともに頑張っていこう」と呼びかけた。

【参考】
東京都―グリーン水素率先利用事業者認証制度 認証事業者の決定 新たに3事業者を認証しました

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/efca14e1-3da8-43c2-b450-a105357a872d

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