日本政府は2050年のカーボンニュートラル(CN)実現を目指し、「成長志向型カーボンプライシング構想」の具体化を進めています。これに伴い、排出量取引制度の2026年度本格導入に向けた制度設計の検討が始まりました。企業が自主的に排出量を取引する「GX-ETS」が2023年度から試行されており、今後は大企業の参加義務化や削減目標の認証制度が導入される予定です。
政府は新たに「カーボンプライシング専門ワーキンググループ」(CP専門WG)を設置し、制度設計に向けた検討を開始。制度の対象者や目標設定、取引のあり方、投資の予見性確保のための措置などが主要な論点として挙げられています。
排出量取引制度は、諸外国の事例に倣い、企業単位での参加を想定しており、日本ではGX-ETS第1フェーズにすでに700社以上が参加しています。今後は、GHG排出量が一定以上の企業を対象にした参加義務化が進められる見込みです。
また、制度の目標設定方法については、「ベンチマーク方式」や「グランドファザリング方式」を採用し、企業間の公平性と目標達成の透明性を確保する予定です。併せて、排出量の正確な算定と取引の公正性を担保するための第三者機関による検証も導入される可能性があります。
日本では、取引市場の価格変動リスクに対応するため、EU-ETSや韓国のK-ETSに倣い、価格の上下限を設定する市場安定化策も検討されており、排出枠のデリバティブ取引の許容や取引参加者の拡大についても議論が進められています。
今後、12月頃に論点整理をまとめ、排出量取引制度の具体化を進める予定です。
【引用】
スマートジャパン. 企業の排出量取引制度、2026年度の導入へ本格的な制度検討がスタート