芙蓉総合リース(東京都千代田区)、GreenCarbon(東京都港区)、日本工営(東京都千代田区)は9月12日、フィリピンにおける水田由来のカーボンクレジット創出に向けた共同実証プロジェクトを開始した。
GreenCarbonは、東南アジアを中心に自然由来のカーボンクレジット創出・販売や、民間資金を活用した二国間クレジット制度(JCM)に基づいたカーボン・オフセット・プログラムを実施し、プロジェクトから創出されるカーボンクレジットをプロジェクト実施国および日本へ還元する。
芙蓉リースと日本工営は、成長が期待される農業由来のカーボンクレジット市場に着目し、日本および東南アジア地域のカーボンニュートラル実現に向けた革新的な取り組みを推進するべく、GreenCarbonと共に同プロジェクトを実施するに至った。
カーボンクレジット創出と現地農家の収入安定化に寄与
主な実証内容は、フィリピンブラカン州において、水田から排出されるメタンガスを間断灌漑(AWD)によって削減し、削減量に応じたカーボンクレジットを創出すること。メタンガスの温室効果はCO2の約28倍という。
AWDは、水田に水を満たした状態と、干した状態とを数日おきにくり返す水管理技術。土壌に酸素が供給され、メタン排出量が抑制されることから、灌漑水使用量とGHG排出量を同時に減らす技術として注目されている。
同プロジェクトを通じて、AWDを活用したクレジット創出手法の妥当性の検証と現地農家の堅確なマネジメント体制を確立することで、高品質なクレジットを創出することを目指す。
また、農法指導やAWDの促進を通じて、メタンガスの発生を抑制しつつ稲の生産性を向上させることで、脱炭素化と現地農家の収入増加にも寄与する。
プロジェクトでの各社の役割
プロジェクトの組成および推進は、国内外において自然由来のカーボンクレジット創出・販売プロジェクトを手掛けるGreenCarbonが担い、現地農家のマネジメント及び水田の水管理をはじめとする農法支援やAWDの方法指導は、ODA(政府開発援助)案件を通じて実施経験豊富な日本工営が実施する。芙蓉リースは、共同事業者として同プロジェクトの資金を支援するとともに、創出されたクレジットの販売等を通じて企業の脱炭素経営への貢献に取り組む。
2026年のGXリーグ稼働を見据え
近年では日本を含む120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル実現」を表明し、温室効果ガスの削減に取り組んでいる状況の中、世界各国においてカーボンニュートラルの実現に向けた有効な手段のひとつとして、カーボンクレジットを活用したカーボン・オフセットが注目されている。
日本においても、2023年に東京証券取引所にカーボンクレジット市場が開設され、2026年にはGXリーグにおける排出量取引制度の本格稼働が予定されており、カーボンクレジット取引は年々増加傾向だ。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/9b479be4-52e3-4bf7-8686-e33943045ef7