IHI建材工業(東京都墨田区)と鉄建建設(同・千代田区)は11月5日、大阪府吹田市が発注した下水道管渠整備工事において、ジオポリマーコンクリート「セメノン」を国内で初めてシールドセグメントに適用したと発表した。セメノンは、セメントを全く使用しないジオポリマーコンクリのため、従来のセメントコンクリ製セグメントと比較して、CO2排出量を最大80%削減する。
製造過程でCO2を排出するコンクリートの課題を解決
コンクリートの材料となるセメントは、原料である石灰石などを高温で燃焼して製造されるため、コンクリートにおけるCO2排出量の約90%はセメントに起因する。
今回、工事に適用したセメノンは、アルカリ活性材料(AAMs)のうち、カルシウム成分をほとんど含まない純粋なジオポリマーに分類されるコンクリートで、セメントを一切使用していない。一般的なコンクリートのCO2排出量は1平方メートル当たり340キログラムに対し、セメノンは68キログラムと、最大80%削減できる。
強度や耐久性については、実工事への適用にあたり実施した製品検査の結果、従来コンクリートと同等以上の性能であることを確認した。
なお、同素材は、カルシウムが溶解する酸劣化の環境において、従来コンクリートと比較して約15倍と、高い抵抗性を発揮する。
両社は現在、自然環境下での性能試験と長期耐久試験を行っている。今後も、セメノンを下水道の汚泥ピットや貯留管など耐腐食性能(耐酸性)が要求される構造物に導入し、利用拡大を図る。
用語解説
ジオポリマーコンクリートとは、メタカオリンやフライアッシュなどの活性フィラーと、水ガラスなどのアルカリシリカ溶液を原料とする固化体。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/cac2c315-6dce-4a62-94c9-30de0031935d