NTTデータ(東京都江東区)は10月31日、AIで自動的に空調機器を最適化する「HUCASTTMAI空調最適化サービス」を活用して、建物全体のエネルギー最適化を目指す取り組みを開始すると発表した。東京都の「GX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業」に8月に採択されて実施するもの。都内事業所ビルの熱源・空調の消費エネルギーの削減を目指す。
大規模な投資不要、省エネと快適性を実現
「HUCAST AI空調最適化サービス」では、室温に影響を与える情報をインプットとして、AIに学習させることで、将来の室温予測に応じた制御を実現する。その特徴として、大規模な投資不要で、AIを活用してビルの空調を最適運転することで、快適性を担保しながら、建物のエネルギー消費量を削減し、投資対効果が見込める省エネ対策が提供できることをあげている。
具体的には、室温の変化を未然に防ぐフィードフォワード型の空調制御(予測制御)により、快適性を保ちつつ空調エネルギーを最大50%削減する。また、応用性の高いAIモデル、コンパクトな人流センサー、クラウド型のサービス設計により、大規模な機器導入が不要のため、既設のビルでも3か月程度の準備期間で導入できる。
複数の建物にサービスを導入、効果を確認
今回の取り組みでは、今後複数の建物に「HUCAST AI空調最適化サービス」を導入して、年間での空調エネルギーの削減効果を確認し実績を作ることで、社会実装化を加速させる。また、空調機器だけではなく、熱源機器まで最適化の領域を広げることで、建物全体のエネルギー最適化を実現する。
さらに、NTTデータは、AIモデルの汎用化を行うことで、将来的に中小規模事業者へ導入を拡大することで、省エネ化の課題を抱えている事業者が広く活用できるサービスとすることを目指す。
東京都は、2050年のCO2排出実質ゼロに向けた「ゼロエミッション東京戦略」を公表し、その実現に向けた取り組みを進めている。NTTデータは、東京都のCO2排出量のうち、大きな比率を占めている事業所ビルにおいて、熱源・空調を最適化することで、温室効果ガス排出量の削減に貢献する。
実フィールドで空調エネの最大50%削減を確認
「HUCAST AI空調最適化サービス」について、JR新宿ミライナタワーをはじめ、複数のオフィスビルや商業施設、複合ビルにおいて、一定期間の検証を行った結果では、PMV(人の熱的快適性を数値化した指標)を快適な範囲(PMVの指標で±1の範囲)を保ちつつ、空調機が用いる消費エネルギー量(冷水熱量)を最大約50%削減できることが確認されている。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/ae2ecb69-674b-468b-aec0-5b902b08aa49