環境省、グリーンファイナンスのガイドライン見直し 国際原則の改訂を反映

環境省は11月8日、日本のグリーンファイナンス市場の健全かつ適切な拡大を目的に、グリーンボンドなどグリーンファイナンス関連ガイドラインの2024年改定版を策定し公表した。

今回策定したのは、「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン2024年版」、「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2024年版」。改定のポイントは、(1)ガイドラインの構成変更、(2)国際原則の改訂の反映、(3)市場の現状を踏まえた解説の追加、の3点。

加速度的に進む国際原則の改定に合わせ、内容を見直し

ガイドラインの構成変更では、環境に関する各種金融商品の国内実務指針であるグリーンファイナンスにおいて、各金融商品に期待される事項と具体的対応方法に関する、国際原則の和訳部分と国内向けの解説部分を整理し、明確に区分するとともに、原則部分は国際原則と共通であることをより明確にした。

国際原則の改訂では、ローン・マーケット・アソシエーション(LMA)などによるグリーンローン原則、サステナビリティ・リンク・ローン原則の改訂、国際資本市場協会(ICMA)によるサステナビリティ・リンク・ボンド原則の改訂の内容を反映し、国内向けの解説を一部追加した。このうち、サステナビリティ・リンク・ボンド原則については、KPI選定に関する説明の明確化などを盛り込んだ。

また、グリーンファイナンス市場の現状を踏まえた解説の追加として、国内のサステナビリティ・リンク・ローン(SLL)に国内向けの解説を加えた。

国内SLLは現在、金融機関が自らの資金調達のためでなく、顧客向けに取り扱う金融商品として策定する「SLLフレームワーク」による調達が大多数(2023年において約7割程度)を占める。また、借り手側企業の中には、将来的な事業において戦略的に大きな意義があるものとは考えにくいKPIの設定が見受けられるという。

これらを踏まえ、新SLLガイドラインにおいては、以下2点を留意点として改めて解説部分に追加した。

  • SLLフレームワークは、SLLと主張・標榜するものであり、同フレームワーク下で組成される個別融資案件は当然のこととして、国際原則と国内ガイドラインを当然遵守する必要があること
  • KPIは借り手の本業に関連があるものであり、慈善事業や普及啓発活動を含まない。策定に当たっては、ICMA「The Illustrative KPIs Registry」が参考となる

(出所:環境省)

(出所:環境省)

「グリーンファイナンスを一歩先のステージへ」

同省は、国際的な潮流や国内市場の状況の反映、ガイドラインの利便性向上の観点などから、グリーンファイナンス各種ガイドラインの見直しを継続的に実施している。2024年改定版の策定に向けては、2021年度に「グリーンファイナンスに関する検討会」を設置し見直しを行ってきた。

同検討会の座長を務めた水口 剛氏は、2024年改定版の序文において、「今回のガイドライン改定は、グリーンファイナンスを一歩先のステージに進める出発点となる」とコメントしている。

【参考】

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/f5a428ac-f518-4138-90e3-c133a1f77bf4

最新情報

最新情報
関連用語
関連動画
  1. 都キャップ&トレード制度、23年度CO2排出31%減 義務率以上を継続

  2. 環境省、地方版「資源循環自治体フォーラム」開催へ 名古屋市など6地域

  3. 米Apple、世界全体のGHG排出量を60%以上削減

  4. オーストラリアの牧場でカーボンクレジット創出へ、Climate Reviveが新計画発表

  5. 東京ガスら、カーボンクレジットの信頼性向上を目的としたフレームワーク策定

  6. タイ農業協同組合銀行(BAAC)、カーボンクレジット取引プロジェクト「BAAC Carbon Credit」を開始

  7. Apple、サプライヤーを巻き込んだカーボンクレジットへの投資状況を報告

  8. 道内5空港、脱炭素化推進 太陽光活用・車両EV化 国交省が認定

  9. 脱炭素化支援機構、地域解決型シードファンドと連携 脱炭素分野で情報交換

  10. KenGen、ケニアの炭素市場枠組みの開発を主導するよう任命

  11. シャープ、RE100加盟 2030年までに100%再エネ化

  12. 大阪ガス、AIシステムでカーボンクレジットを短時間で評価 英・格付会社と提携

  1. 【超入門】世界の一流企業が本気で買い求める「カーボンクレジット」って何?(Apple/ディズニー/マイクロソフト/脱炭素/気候変動)

  2. カーボンフットプリントとは|用語集・意味

  3. 森林再生 (Afforestation/Reforestation, A/R)|用語集・意味

  4. 【政府】2040年に向け脱炭素化など国家戦略策定へ

  5. 生物炭 (Biochar)|用語集・意味

  6. カーボンプライシングとは|用語集・意味

  7. グリーン成長戦略とは|用語集・意味

  8. 【気候変動と脱炭素ビジネス①】日本人が知らない環境危機と地球に配慮したクリーンなビジネスとは?

  9. 国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)とは|用語集・意味

  10. カーボンリムーバル(Carbon Removal)|用語集・意味

  11. パリ協定 (Paris Agreement)|用語集・意味

  12. グリーンエネルギー (Green Energy)|用語集・意味

  1. Verra(ヴェラ/ベラ)とは|用語集・意味

  2. 【超入門】世界の一流企業が本気で買い求める「カーボンクレジット」って何?(Apple/ディズニー/マイクロソフト/脱炭素/気候変動)

  3. 炭素回収・貯留 (Carbon Capture and Storage, CCS)|用語集・意味

  4. トレーディングプラットフォーム (Trading Platform)|用語集・意味

  5. 脱炭素への取り組みを評価する世界基準となる「ACT」=低炭素移行評価の導入を支援する企業が、福岡市に設立されました。

  6. カーボンクレジット市場の包括ガイド~基本概念から投資戦略まで~

  7. 排出権取引 (Emissions Trading)|用語集・意味

  8. 認証排出削減量 (Certified Emission Reductions, CER)|用語集・意味

  9. 追加性 (Additionality)|用語集・意味

  10. カーボンニュートラル (Carbon Neutral)|用語集・意味

  11. 炭素市場とは|用語集・意味

  12. ボランタリー市場(Voluntary Carbon Market, VCM)|用語集・意味