政府は11月26日、ペロブスカイト太陽電池を2040年度に20GW導入する目標を発表した。原発約20基分の発電出力に相当するもので、ペロブスカイトを再生可能エネルギー拡大の切り札と位置付け、第7次エネルギー基本計画にも盛り込む方針だ。
また2025年度以降、ペロブスカイトの国内市場の立ち上げに向け官民で準備に着手する。
価格水準低減できる技術の確立目指す
経済産業省が「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」で示した案によるもの。
ペロブスカイトの量産体制の確立に向けて技術開発を進め、2025年に1kWhあたり20円、2030年に同14円、2040年に同10~14円の価格水準に低減できるレベルの技術を確立させることを目標に設定。2040年度に約20GW分のペロブスカイト導入を目指す。大幅なコスト低減が実現できれば40GW以上の導入も視野に入れるほか、海外市場への展開も模索する。
フィルム型、ガラス型、タンデム型を併用
ペロブスカイトには軽くて柔らかいフィルム型、建材としてビルや住宅の窓の代わりに設置可能なガラス型、既存の太陽電池に置き換えが可能なタンデム型の3種類があり、これらを効果的に組み合わせて再生可能エネルギーを拡大しながら、官民挙げてペロブスカイトの技術力、開発力を強化する。
政府は太陽光を再生可能エネルギーの中核電源と位置付けている。2023年度の太陽光発電の電源比率は9.8%で、2030年には14〜16%への拡大を目指している。日本は平地における太陽光の設置面積が世界の先進国でもトップクラスという。
現在の太陽光、事故や環境破壊など問題点顕在化
近年は太陽光の設置場所が少なくなり、太陽光パネルが崩落する事故や大規模な太陽光発電施設であるメガソーラー開発に伴う山林の環境破壊など、問題点や課題も顕在化している。政府はペロブスカイトがこうした設置場所の課題を解決する製品になると期待している。
また今後、ペロブスカイトの特徴である軽量性、柔軟性を生かした設置・施工方法など、性能を検証するための実証試験を支援する。2028年度まで、積水化学工業(大阪府大阪市)と東京電力ホールディングス(東京都千代田区)が量産実証に取り組む。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/ac3a3402-e0e4-4bef-aa1e-a6d57c597eee