経済産業省は12月6日、グリーンスチールやグリーンケミカル、低炭素水素、SAFなど社会全体のGXに必要な低炭素な製品・サービスを採用する企業を評価する枠組みとして、「GX率先実行宣言」を新たに創設したと発表した。
この宣言は、低炭素な製品・サービスのうち、企業が積極的に採用するものと取り組み方針を表明するもの。政府による供給側への支援に加えて、需要側からのGX市場創造に向けた取り組みを加速させる。
GX製品の市場形成に向けた機運醸成
この取り組みは、企業が自らの排出削減に積極的に取り組むだけでなく、この宣言を通じてサプライチェーン全体でのGXに取り組む企業群を可視化し積極的に評価する。幅広い業種・業界から宣言企業が現れるよう、宣言を行った企業への政府による優遇措置などを通じて、宣言の輪を拡大し、GX製品の市場形成に向けた機運を醸成していく。
GXリーグでの議論を通じて立ち上げており、GXリーグ事務局は、宣言のひな形を公表し、企業による宣言の受付を開始した。宣言は通年で受け付ける。GXリーグに参画していない企業でも宣言ができる。宣言において掲げる項目の具体度に応じてグレードを設けることで、自社の状況に応じた宣言のグレード選択が可能となり、幅広い業種・企業が宣言しやすい設計としている。
宣言の立ち上げ時においては、具体的に以下の製品・技術と、それらから派生する最終製品・サービスを宣言の対象とする。宣言の対象製品は今後拡大させていく予定。2025年度にGXリーグにおいて継続的にワーキンググループを立ち上げ、議論を継続する予定だ。
今回は、自律的に需要が立ち上がらないGX製品を念頭に置き、積極的な取り組みを後押しす る。GX製品においても、既存の設備で生産し、証書やクレジットなどによりGX性を追加できる場合、供給市場への入退場のハードルが低いことから、需要促進はまず設備投資を伴うものを対象に枠組みを構築する。
したがって、以下を満たすものを、この宣言を通じた需要喚起の対象とする。
(1)当該GX製品・サービス(GX製品を利用したサービスなどをいう)の利用により、利用者のScope1~3のいずれかにおいて削減効果があり、日本のGXに貢献するもの
(2)当該GX製品の製造のために、従来製品の製造とは異なる設備投資などを必要とするもの
(3)該当性を一義に判断できること
GX率先実行宣言の立ち上げの背景
GXリーグは、企業群がGXを牽引する枠組みであり、700社超の企業が参画している。参画企業は、2030年度に加え、2025年度までの温室効果ガスの排出削減目標を自ら掲げて削減に挑戦するとともに、試行的に実施中の排出量取引にも参画している。また、サプライチェーン全体での排出削減やグリーン製品の投入に関し、個社の取り組みでは難しいルール形成などについても、積極的な議論・提案を行っている。
脱炭素と経済成長を両立するGXを日本全体で実現するためには、幅広い業種での取り組みが不可欠であり、サプライチェーン全体での脱炭素化を推進することが重要となる。このため、GX投資により生み出される、製造過程での排出削減効果が大きい製品や、他者の排出削減に貢献する製品など、より低炭素な製品が市場で評価され、その需要が拡大していくことが求められている。
他方で、これらの製品の中でも、特に競合する既存の非グリーン製品と機能・性状が似通っているにもかかわらず生産コストが高い場合は、自立的な需要の拡大は困難である。このため、政府は社会全体のGXに必要な製品などについて、供給側に対して中長期的な支援措置を講じ社会実装を促進している。
また、GX製品の市場確立のためには、供給側だけでなく需要側へのアプローチも不可欠となる。そこで、GX製品の需要家を積極的に評価する枠組みを立ち上げた。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/95ed9a40-3364-4408-9922-f8ad44775fea