大林組(東京都港区)は4月8日、太平洋マテリアル(同)と共同で、低炭素型の高性能セメント複合材料「ユニバーサルクリートGX」を開発したと発表した。同材料は、大阪・関西万博で実施される来場者移動EVバスの技術実証において、走行中ワイヤレス給電システムの道路設備に適用する。
高い耐久性を確保しながら、製造時のCO2排出量を半減
両社が開発したセメント複合材料は、モルタルとポリプロピレン短繊維で構成される。磁性を有する素材を使用しておらず、繊維による補強効果により、0.5%程度の引張ひずみでも引張強度を保持し、一般のセメント系材料より高い耐久性を実現するという。
材料となるセメントの一部は、高炉スラグ微粉末などの産業副産物に代替しており、従来の高性能セメント複合材料と比べて、製造時のCO2排出量を約50%低減する。
EVバスが走行中に給電する道路設備に適用
大林組は、関西電力(大阪府大阪市)、大阪市高速電気軌道(同)、ダイヘン(同)の3社とコンソーシアムを組成し、大阪万博の未来社会ショーケース事業のうち、「来場者移動EVバス」事業に協賛している。
実証において、大林組は走行中ワイヤレス給電システムにおける、送電コイルの埋設工事を担当。実証向けに、送電コイルの上面に「ユニバーサルクリートGX」を被覆したプレキャストコイルユニットを製造し、道路に埋設した。 舗装厚さは約25ミリと薄いが、通行車両の重量に耐え、給電効率にも貢献するという。
なお、今回の送電コイル埋設工事は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業を活用して実施する。

走行中ワイヤレス給電の送電コイル埋設状況とプレキャストコイルユニット(出所:大林組)
大林組は今後も、ユニバーサルクリートGXの特徴を生かし、ワイヤレス給電システムにおける道路設備をはじめ、非磁性と耐久性が求められる他分野での適用を進め、セメント材料のさらなる低炭素化を推進していく。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/2f821225-469e-4dcf-9594-613feb30e593