神奈川県は4月16日、県内事業者の脱炭素促進に向け、アスエネ(東京都港区)などCO2排出量管理システムを提供する民間4社との連携を開始したと発表した。4社は県内事業者に対し、CO2排出量管理システムの導入を促すとともに、企業のGHG排出量に関する情報の活用や神奈川県地球温暖化対策推進条例に基づく「事業活動温暖化対策計画書制度」の代行などを行う。
企業の脱炭素業務を軽減させ、県内事業者の脱炭素化を促進
この取り組みには、アスエネのほか、e-dash(東京都港区)、ゼロボード(同)、タンソーマンGX(同)が参画する。
具体的な連携内容は以下の通り。
- 県内企業等へのCO2排出量管理システムの導入促進に向けた普及啓発に関すること
例)セミナーの開催、ホームページでの情報発信など - CO2排出量管理システムを通じて収集した県内企業等の温室効果ガス排出量等の情報の活用に関すること
例)業種別データ等を踏まえた支援策の検討など - CO2排出量管理システムを活用した事業活動温暖化対策計画書制度における計画書提出事業者の事務負担軽減に関すること
例)計画書制度の報告様式に適合したシステム改修など
県補助金を活用してシステム改修
この連携に先立ち、アスエネは3月16日、クラウドサービス「ASUENE」において、神奈川県の「事業活動温暖化対策計画書制度」に対応した計画書などの作成機能を開発し、2025年4月より提供開始することを発表している。またe-dashも、「e-dash」上で、同制度に基づく計画書等の作成を効率化する機能を拡充した。共に、「令和6年度神奈川県CO2排出量管理システム改修支援補助金」を活用したという。
「事業活動温暖化対策計画書制度」とは
「事業活動温暖化対策計画書制度」は、神奈川県地球温暖化対策推進条例に基づき、事業者から提出された計画書などをもとに、県が事業者の脱炭素化の取り組みを評価し、その評価結果を公表する制度。
計画書の提出義務があるのは、以下に該当する特定大規模事業者としている。
- 工場や事業所における事業活動の場合: 県内における原油換算エネルギー使用量(前年度)の合計が 1500kL 以上
- 自動車を使用した事業活動の場合:使用の本拠地が神奈川県内として登録された自動車が100台 以上(軽自動車を除く)

「事業活動温暖化対策計画書制度」で計画書などの提出が義務付けられる事業者(出所:神奈川県)
中小規模事業者にも提出を促進、補助額上乗せなど別途運用も
また県では、上記規模未満の中小規模事業者に対しても提出を促している。
2050年までの脱炭素化を宣言し、計画書を提出した中小企業等を「かながわ脱炭素チャレンジャー」として県が認証し、補助額の上乗せなどのインセンティブを付与する「かながわ脱炭素チャレンジ中小企業認証制度」を別途運用するなど、積極的な計画書への取り組みを推進している。
神奈川県、事業者由来の排出が全体の約5割を占める
神奈川県は「2050年脱炭素社会の実現」を掲げ、中期目標として、2030年度までに県内の温室効果ガス排出量50%削減(2013年度比)を掲げている。
こうした中、県内事業者の脱炭素化が重要な課題とされる。自動車など輸送用機器をはじめとする製造業が盛んな同県では、県全体の温室効果ガス排出量のうち、事業者由来の排出が全体の約5割と高い割合を占める。
【参考】
神奈川県ー県内企業のCO2排出量の見える化を促進するための連携協定を締結しました!~都道府県レベルでは、全国初の取組~
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/17dc6fde-849f-4a8f-b76c-a77da9dcfbc1