国交省、土木工事の脱炭素アクションプラン公表 建設現場のCN化を牽引

国土交通省は4月21日、発注する道路・治水・公園などの土木工事において、脱炭素化に向けた3つのリーディング施策と、そのロードマップを定めたアクションプランを作成・公表した。同省の直轄工事において先進的に取り組むことで、建設現場のカーボンニュートラルの取り組みを牽引する。

建設機械・コンクリート・建設技術の脱炭素化を推進

脱炭素化に向けたリーディング施策については、まず建設現場でのCO2排出の過程を「直接的なCO2排出に関わる建設機械(Scope1,2)」「間接的にCO2排出に関わる材料等(Scope3)」に分け、それらに応じて削減方針を定めた。その上で、強化すべき当面のリーディング施策として、(1)建設機械の脱炭素化(2)コンクリートの脱炭素化(3)その他建設技術の脱炭素化の3つを定め、推進していく。

リーディングプラン概略(出所:国土交通省)

リーディングプラン概略(出所:国土交通省)

政府の計画である地球温暖化対策計画と整合を図りながら、短期・中期・長期のロードマップに基づき各取り組みを進める。今後、技術開発の進展による費用対効果の向上などを踏まえ、リーディング施策の対象を追加していく。

3つのリーディング施策の概要、ロードマップは以下の通り。

(1)建設機械の脱炭素化

  • 建設機械の燃費性能の向上を促進しつつ、2030年度を目途に燃費基準達成建設機械を直轄工事において油圧ショベルから使用原則化。また、電動建機(GX建設機械)の電費性能向上を促進しつつ、普及・導入促進を図る。
  • バイオ燃料の一種であるHVO(水素化植物油)など次世代燃料等の活用をモデル工事等により促進する。
  • 建設機械の脱炭素化に向けて、燃費の向上や電動化によるエネルギー効率の向上、次世代燃料の活用を促進する。また、ICT施工や建設現場のデジタル化・見える化、チルトローテータ等の新たな施工技術の活用による施工の効率化を図る。

(出所:国土交通省)

(出所:国土交通省)

(2)コンクリートの脱炭素化

  • コンクリート製造時にCO2排出量の少ない原料を活用するともに、技術開発の進むCO2をコンクリートに固定・吸収する技術について、供給体制・費用対効果等を見定めつつ活用し、直轄工事でのコンクリートの脱炭素化を目指す。
  • CO2排出の削減は、産業副産物である高炉スラグ微粉末やフライアッシュを使用し、セメントの一部または全部を置き換えた製品の活用を進める。現行のグリーン購入法に基づく特定調達品目よりも高い置換率(55%以上)の製品について、試行工事の発注により市場性を検証し、用途等を指定して使用を原則化し、順次、段階的に対象を拡大・置換率の引き上げ等も検討する。
  • CO2吸収源増は、CO2固定した炭酸塩原料を用いた骨材や混和剤の使用、養生中のCO2 吸収等によるもので、現在進められているGI(グリーンイノベーション)基金等による技術開発の状況に応じて、用途等を指定して使用を原則化し、順次対象を拡大する。

(出所:国土交通省)

(出所:国土交通省)

(3)その他建設技術の脱炭素化

  • 各企業による脱炭素に関する材料、製品等の技術開発が進んでおり、脱炭素材料等にインセンティブを与えるとともに、費用対効果に関する目標値を示すことで、削減効果向上や価格低減を促し、技術の開発・普及促進の好循環を構築する。
  • CO2削減効果の評価や手法等の制度の設計とともに、各現場での運用の仕組みの構築やデータのオープン化などの必要な環境整備(評価制度等)を進め、表彰制度・工事成績評定等のインセンティブを付与し、受発注者共に理解が浸透された後に、総合評価等でのインセンティブ付与について検討する。また、CO2排出削減量当たりの費用の妥当性について排出量取引制度の上下限価格やその技術の将来性等も踏まえながら検討し、材料、製品等(例、グリーンスチール、低炭素アスファルト)の用途等を指定して使用を原則化し、順次対象を拡大する。
  • 建設機械等の稼働による現場からの実態排出量の把握方法についても併せて、手法の検討、基準・要領化を行う。

(出所:国土交通省)

(出所:国土交通省)

建設現場のカーボンニュートラルに向けて

事では、経済性に配慮しつつ、脱炭素化に対する寄与の程度を考慮して、総合的に価値の高い資材等の採用に努めることとされた。また、GX2040ビジョン・地球温暖化対策計画においても、公共工事が脱炭素化に率先して取り組むことが求められている。今回、国交省では、これらを踏まえ、「国土交通省土木工事の脱炭素アクションプラン~建設現場のカーボンニュートラルに向けて~」を作成した。

建設段階の排出削減に向けた取組を強化

建設分野におけるCO2排出量の状況は、「建設段階」「公共施設の供用段階」「建築の供用段階」に大別される。建築は民間企業含め設備の省エネ化などから従来より取組が進み、公共施設の供用段階も分野ごとに取組を推進している。建設段階の排出削減は、取組の強化が必要であり、アクションプランにより、国交省が直轄工事で先進的に取り組むことで、建設業界を牽引し、全体的な底上げを図る。

(出所:国土交通省)

(出所:国土交通省)

【参考】
国土交通省-国土交通省土木工事の脱炭素アクションプランを公表しました!~建設現場のカーボンニュートラルに向けて~

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/ed1f84c5-04ad-4f98-b746-ca8819064691

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