エナリス、MRV支援システム運用へ 太陽光によるJ-クレジット創出を支援

エナリス(東京都千代田区)は4月24日、J-クレジットのモニタリング・報告・検証等の業務の効率化に資する「MRV支援システム」の実運用を2025年度に開始すると発表した。太陽光発電設備を導入する法人などに対してJークレジットの発行業務の効率化を支援する同社オリジナルのシステムで、環境省事業のMRV支援システム運営者の1社として採択されて開始する。

エナリスオリジナルの「MRV支援システム」

エナリスが運用するMRV支援システム「eneGX MRV’S(エネジーエックス マーブス)」は、ブロックチェーン技術と環境省が主導する実証への参画などを通じて得た知見をもとに構築したものだ。

このMRV支援システムは、「太陽光発電設備の導入(EN-R-002)」を対象としたJ-クレジットの検証に必要な一連の工程業務(測定・報告・検証から管理まで)の効率化を支援する。国のJ-クレジット登録簿システム等と連携しており、創出されたクレジットに関する情報をブロックチェーンに記録し、創出後のJ-クレジット情報の管理も行う。

エナリスは今後、審査機関との協議を経て、「eneGX MRV’S」をエナリスが登録するJ-クレジットプロジェクト「エナリスPV価値創出プロジェクト」に活用していく計画だ。

J-クレジットMRV支援システムの概要(出所:エナリス)

J-クレジットMRV支援システムの概要(出所:エナリス)

J-クレジットの創出と流通を支援へ

エナリスは、「eneGX MRV’S」の今後の展開に向けて、さらなる効率化を支援できるシステムへと機能拡充に取り組んでいく。また、国の検討結果を踏まえながら、「太陽光発電設備の導入(EN-R-002)」以外の方法論にも対応するシステムへの拡充を検討していく。将来的なJ-クレジットの事業の展開としては、J-クレジットの創出支援だけでなく販売・買取のサービスも充実させていく計画だ。

J-クレジットの創出に向けた課題を解決へ

J-クレジット制度は、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度。「省エネ設備の導入」や「再生可能エネルギーの導入」など、温室効果ガス削減・吸収につながるさまざまな取り組みからJ-クレジットを創出することができる。

一方、J-クレジット制度におけるプロジェクト登録からクレジット取引までの各段階における手続は、人手の少ない中小企業や家庭にとっては、コストと時間がかかる上、自らの削減活動ではクレジット発行量が小さいため単独で参加することが難しいという課題がある。

そこで、環境省は2020年から、ブロックチェーンを活用したJ-クレジット創出プロセスのデジタル化について検討を進め、J-クレジット創出に向けた測定・報告等の一連の検証工程業務の効率化を支援、かつJ-クレジット登録簿システムと連携するシステム環境(MRV支援システム)の構築を目指してきた。

2024年度事業では、太陽光発電方法論を対象に、MRV支援システムの実運用に向けて、エナリス、富士通(神奈川県川崎市)、IHI(東京都江東区)、日立製作所(同・千代田区)、日本電気(NEC/東京都港区)の5社が採択され、J-クレジット登録簿システムと連携したMRV支援システム環境の構築に取り組んだ。

また、MRV支援システム運営者としてエナリスのほか、富士通、IHI、日立製作所の4社を採択している。

需要拡大が見込まれるJ-クレジット

2023年に東京証券取引所(東京都中央区)がカーボン・クレジット市場を設立、2025年3月には東京都が自治体初のカーボン・クレジット取引システムの運営を開始。さらに2026年度には排出量取引制度(GX-ETS)の開始が予定されるなど、企業が排出するCO2に価格をつけることにより、CO2排出を抑えるように誘導する「カーボンプライシング」の導入が拡大しつつある。こうした流れを受けて、今後特にJ-クレジットの需要が高まると想定されている。

なお、エナリスは、J-クレジット制度における方法論「太陽光設備の導入(EN-R-002)」では、次の条件のすべてを満たす場合にプロジェクト登録をすることができるとして、紹介している。

条件1:太陽光発電設備を設置すること。又は設置済みの太陽光発電設備に対して追加的な設備投資を実施すること
条件2:原則として、太陽光発電設備で発電した電力の全部又は一部を、自家消費すること
条件3:太陽光発電設備で発電した電力が、系統電力等を代替するものであること

【参考】
環境省ーJ-クレジット制度におけるMRV支援システム運営者の採択について

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/e209599a-33a0-461e-9eac-ef5bfc3dca15

最新情報

最新情報
関連用語
関連動画
  1. 日立が目指す再生材マーケットプレイス、 三菱UFJ銀が参画・金融機能を提供

  2. 東大と北大、GX推進で連携 保有森林資本を有効活用

  3. 池袋サンシャインビル群、2025年度から実質再エネ化 CO2約7割減へ

  4. NCCC、世界初のカーボンクレジット認証規約を確立し、岡山で初のボランタリークレジットを認証

  5. 東京都、GXスタートアップと事業会社をマッチング 新規事業の参加者を募集

  6. 環境省、再エネなど5分野のCO2削減技術・実証を後押し 25年度公募開始

  7. みずほとLSEGがカーボンクレジット市場で連携開始

  8. コーヒー粕で豆を焙煎、廃棄とCO2排出を解決する資源循環型焙煎所

  9. NEDO、「再エネ最大活用のための貯蔵」など取り組むべき13領域を提案

  10. 積水化学、ペロブスカイト量産化 2027年100MW製造ライン稼働

  11. 台湾、国内初の炭素クレジット取引プラットフォーム「TCX」を立ち上げ、気候変動対策を加速

  12. ヤンマーマルシェとNTT Com、「水稲栽培における中干し期間延長の方法論」 によりJ-クレジットを創出、NTT Comが販売を開始

  1. トレーディングプラットフォーム (Trading Platform)|用語集・意味

  2. 脱炭素社会実現へ、公明がポイント還元制度など首相に提言

  3. 【超入門】世界の一流企業が本気で買い求める「カーボンクレジット」って何?(Apple/ディズニー/マイクロソフト/脱炭素/気候変動)

  4. 排出権取引 (Emissions Trading)|用語集・意味

  5. 炭素市場とは|用語集・意味

  6. ICE グローバル・カーボン・インデックスとは(Global Carbon Index)

  7. ベースライン (Baseline)|用語集・意味

  8. 排出削減単位 (Emission Reduction Unit, ERU)|用語集・意味

  9. 【脱炭素】ディズニーも施策を加速中

  10. 財務省は14日、脱炭素社会への移行を目的とした新たな国債「GX経済移行債」の入札を実施しました。政府による「移行債」の発行は世界で初めてです。

  11. カーボンクレジット市場の包括ガイド~基本概念から投資戦略まで~

  12. コンプライアンス市場 (Compliance Carbon Market)|用語集・意味

  1. 炭素予算 (Carbon Budget)|用語集・意味

  2. カーボンニュートラルとは|用語集・意味

  3. グリーン電力証書とは|用語集・意味

  4. オフセットクレジット (Offset Credit)|用語集・意味

  5. 脱炭素への取り組みを評価する世界基準となる「ACT」=低炭素移行評価の導入を支援する企業が、福岡市に設立されました。

  6. 追加性 (Additionality)|用語集・意味

  7. 炭素証書 (Carbon Certificate)|用語集・意味

  8. ネットゼロ (Net Zero)|用語集・意味

  9. 再生可能エネルギーとは|用語集・意味

  10. 【財務省】新国債「GX経済移行債」の入札実施 世界初の政府による「移行債」

  11. カーボンリムーバル(Carbon Removal)|用語集・意味

  12. 脱炭素社会実現へ、公明がポイント還元制度など首相に提言