産総研、CO2分離素材評価サービス開始 吸収液・吸着剤・分離膜に対応

産業技術総合研究所およびAIST Solutions(AISol/東京都三浦港区)の産総研グループは8月21日、CO2分離素材を評価するサービスを開始すると発表した。「吸収液」「吸着剤」「分離膜」に関する素材特性・分離性能・耐久性・エネルギー消費量・コストを評価。企業における開発費用の抑制や開発期間の短縮を図る。

素材特性・分離性能・耐久性・エネルギー消費量/コストを評価

同サービスの対象は、素材特性評価・分離性能評価・耐久性評価・エネルギー消費量/コスト評価の4種類。試験は、産総研東北センターと早稲田大学のCO2分離素材評価センター「Japan Evaluation Center for CO2 Capture Materials, JEC3M」で行う。

素材特性評価

同評価は、CO2分離素材の基礎的な特性を客観的に評価するのが目的で、分離技術に必要な物性の計測・分析を実施する。これにより、ほかのCO2分離素材に対する優位性や技術課題を見出すという。

主な評価

  • 吸収法:気液平衡特性、密度、比熱、反応熱
  • 吸着法:吸着等温線、吸着熱、比熱、熱伝導率、密度、吸着速度
  • 膜分離法:基礎特性、表面性状の観察、組成分析、化学結合の分光分析、結晶構造解析、耐熱性・分解挙動

全素材特性の評価だけでなく、特定の特性のみの評価も可能。

分離性能評価

性能評価は、分離素材に応じて3種類の装置を使い分け、CO2処理量10kg/日以下のスケールで、CO2の連続分離回収を行う。試験では、標準ガスの組成を調整。燃焼排ガスや産業排ガス、大気を想定した分離回収にも対応する。

(左)吸収法の概念図と(右)CO2分離回収試験装置(出所:AIST Solutions)

(左)吸収法の概念図と(右)CO2分離回収試験装置(出所:AIST Solutions)

耐久性評価

耐久性の検証は、各分離素材の実用において想定される劣化要因を考慮した上で実施する。たとえば、吸着剤では、酸化や加水分解を加速するための成分を調整、吸脱着を高速で繰り返す加速劣化試験が行われる。素材特性評価と同様、新規素材については、ほかのCO2離素材に対する優位性や技術課題を明らかにする。

耐久性評価装置(吸着法)で使用する試験装置(出所:AIST Solutions)

耐久性評価装置(吸着法)で使用する試験装置(出所:AIST Solutions)

エネルギー消費量・コスト評価

分離回収技術のエネルギー消費量およびコスト試算に向けては、「素材特性評価」で測定したデータやユーザーが保有するデータを用いた評価ツールを提供する。供給ガス組成・流量やCO2分離回収プロセスの操作条件は任意の設定が行え、エネルギー消費量・コストが比較できる。

エネルギー消費量・コストを試算する簡易評価ツールを提供(出所:AIST Solutions)

エネルギー消費量・コストを試算する簡易評価ツールを提供(出所:AIST Solutions)

サービス提供の手順としては、申請受付後、AISolの担当者がヒアリングを実施。評価を受けたいCO2分離素材と希望の評価内容に基づき、最適な評価サービスを提案する。必要に応じて、打ち合わせに産総研の研究者が同席するケースもある。

サービスの流れ(出所:AIST Solutions)

サービスの流れ(出所:AIST Solutions)

海外に遅れをとる、日本の「CO2分離回収技術」評価体制

現在、CO2分離素材や分離回収技術に関する研究がグローバル全体で行われている。代表的なCO2分離回収技術としては、吸収法・吸着法・膜分離法の3つがあるが、分離素材ごとに評価手法が異なり、その優劣を横断的に比較することは容易ではない。また、同じ手法であっても統一された評価手法がなく、開発した素材を客観的に評価できないことが実用化の障害となっている。

こうした中、米国や英国などでは、石炭燃焼排ガスを用いたトン/日クラスの設備による評価が行われているが、日本国内にはそのような評価設備が整備されておらず、国内企業は海外頼りになっているのが現状だ。外国への依頼は、膨大な時間を要する上、知的財産保護や経済安全保障の懸念もある。そのため、日本国内で試験可能な評価基盤の構築が強く求められている。

産総研は今回、早稲田大学・京都大学・広島大学と連携し、信頼性の高い客観的評価方法を確立するとともに、CO2分離素材評価のための専門施設を開設した。今後は、これらを活用し、CO2分離素材の横断的評価を行い、国内企業の産業競争力保持と分離回収技術の実用化を後押ししていく。

なお、同サービスは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務で得られた成果を活用している。

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/aca1b96b-9eb0-4726-8402-7e2b98880530

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