出光興産(東京都千代田区)は9月11日、日本道路(同・港区)と、排ガス中のCO2を固定化した合成炭酸カルシウム「カルカーボ®」を配合するアスファルト舗装を、茨城県鹿嶋市の一般道路(市道)で実証施工したと発表した。同素材の性能を検証する目的で、老朽化によりひび割れや凹凸が見られる区間のうち約200m2に施工した。舗装材に同素材を1t程度配合し、約200㎏のCO2を道路に固定化した。
コンクリート製品製造過程の副生物由来の合成炭カル
「カルカーボ」は、ボイラー排ガス中のCO2と、電柱や基礎杭などコンクリート製品製造工場で発生するコンクリートスラッジに含まれるカルシウムを合成するカーボンリサイクル技術により製造される。
今回の実証舗装では、アスファルト舗装材の生成時に混ぜ合わせる混和剤(フィラー)に使用する粉砕石灰石(天然炭酸カルシウム)を「カルカーボ」で代替した。

アスファルト舗装への「カルカーボⓇ」の使用イメージ(出所:出光興産)
出光興産と日本道路は、「カルカーボ」を配合したアスファルト舗装材による舗装施工技術の開発と実用化を進めてきた。出光興産はこれまで、2024年3月に千葉事業所(千葉県市原市)内、2025年7月に北海道製油所(北海道苫小牧市)内においても試験舗装を実施。外部との連携も実施しており、2024年2月には宮崎大学の木花キャンパス内(宮崎県宮崎市)の一部にも「カルカーボ」による舗装を施し、同大の脱炭素化に貢献していることを明らかにした。

アスファルト舗装の実証施工が完成した様子(出所:出光興産)
AIを活用した道路維持管理サービス、損傷検知により補修へ
今回の実証において、舗装箇所の選定には出光興産のAIによる道路損傷検知技術を活用した。
同社は、グループの製品を配送する車両に道路損傷検知アプリを搭載したスマートフォンを取り付け、日々の配送を利用して道路状態を解析するサービスを2024年7月に全国の自治体向けに提供を開始しており、今回が、同サービスを活用した道路の「損傷検知」を「補修」へと繋げた初めての事例だという。

出光グループの製品配送車両とAIによる道路損傷検知技術を活用した道路維持管理サービス(出所:出光興産)
なお、鹿嶋市と出光興産は、このAIを活用した道路維持管理サービスの導入による道路維持管理の最適化を目的に、インフラ管理のデジタルトランスフォーメーション(DX)による道路維持管理業務の効率化のための契約を2023年6月に締結している。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/f58ff050-e3eb-47c8-b41f-831b80c439cc