東京都、都内大規模ビルのCO2排出実績を「見える化」 ダッシュボード公開

東京都は10月3日、東京都キャップ&トレード制度において、毎年度、事業所から提出されたCO2排出量などの情報を、マップやグラフで「見える化」したダッシュボードの公表を開始した。過去からの推移、都内平均値や他事業所との比較などが一目でわかる仕様で、脱炭素化に積極的な事業所が、投資家や金融機関、取引先などから選ばれ、社会経済的な評価をさらに高めることができる仕組みを提供する。

約1200事業所のデータを活用したダッシュボード

ダッシュボードの主なポイントとして、都内大規模ビルや工場などのCO2排出量や床面積当たりのエネルギー使用量の推移、東京都内の平均値や上位レベルとの比較、建物用途や床面積の大きさなどが類似する事業所との比較、再生可能エネルギーの利用割合、が表示できることをあげている。

東京都キャップ&トレード制度・ダッシュボード・概要シート(出所:東京都)

東京都キャップ&トレード制度・ダッシュボード・概要シート(出所:東京都)

ダッシュボードは、東京都キャップ&トレード制度の対象となっている約1200事業所から毎年度提出されている地球温暖化対策計画書のデータを元にしている。概要シートと比較シートで構成され、概要シートでは、マップ上で事業所のCO2排出量など(CO2排出量の経年変化、床面積当たりのエネルギー使用量の推移、再エネ設備の導入状況など)を見ることができる。比較シートでは、特定の事業所について、都内平均値や他事業所の状況と比較することが可能だ。

なお、一次エネルギー原単位、再生可能エネルギーの利用割合、再エネ設備導入状況、環境認証取得状況は、2026年度からの表示項目となる。

東京都キャップ&トレード制度・ダッシュボード・比較シート(出所:東京都)

東京都キャップ&トレード制度・ダッシュボード・比較シート(出所:東京都)

省エネ対策などの実績をわかりやすく伝える

東京都では、都内の温室効果ガス排出量の確実な削減を図るため、2010年度から、大規模事業所(既存建築物)に「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度(東京都キャップ&トレード制度)」を施行している。この制度では、CO2排出量の総量削減を義務付けるとともに、排出量取引を活用して他の事業所の削減量(クレジット)などを取得して義務を履行することができる。対象は約1200事業所(年間のエネルギー使用量が原油換算で1500kl以上の事業所)。

この制度では、毎年度、事業所から提出されたデータや取り組み状況を環境局のウェブサイトで公表してきた。今回、公表のあり方を見直し、事業所が省エネ対策などに取り組んできた実績をわかりやすく伝えるため、CO2排出量などの情報を「見える化」して、環境省のウェブサイトで公表を始めた。

脱炭素社会の実現に向けた国内外の動向として、新築建築物の環境性能だけではなく、既存建築物におけるCO2排出量やエネルギー使用量のパフォーマンスにも注目が集まっている。東京都は、今後も、ダッシュボードに関する意見を踏まえ、継続的に改善を図る。

2023年度実績公表

東京都は3月6日に、キャップ&トレード制度の第3計画期間(2020年度~2024年度)の4年度目(2023年度)における削減実績を発表した。2023年度の対象事業所の排出量は合計1132万トンで、基準排出量から31%削減となった。

【参考】
東京都-都内大規模ビルのCO2排出実績をマップやグラフでわかりやすく「見える化」しました 「東京都キャップ&トレード制度・ダッシュボード」の公表開始

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/5ef1d9f2-1648-44be-a8ce-98508e45d596

最新情報

最新情報
関連用語
関連動画
  1. 三菱系、太陽光活用J-クレジット事業で新連携 2030年までに900t

  2. KlimaDAO JAPAN、ブロックチェーンを活用した炭素クレジット市場を立ち上げ

  3. KenGen、ケニアの炭素市場枠組みの開発を主導するよう任命

  4. 大分県が脱炭素を目指す「グリーン・コンビナートおおいた」構想の展開

  5. サステナクラフト、2023年のボランタリーカーボンクレジット市場動向レポートを公開

  6. トヨタの水素カートリッジがEVを永遠に変える

  7. 世界初・DACで回収したCO2を都市ガスに変換し利用 大阪万博で

  8. 都市緑地法などの改正法施行 脱炭素・緑化を促進する都市開発を支援

  9. バイウィルと滝沢市、LED照明でのCO2削減によりJ-クレジット創出

  10. 住友電工、グループ初のネットゼロ工場稼働 レドックスフロー電池などを採用

  11. UPDATER、青森県佐井村のGX・SX支援 再エネ供給モデル構築など

  12. 住友林業、「森空プロジェクト」参画 SAF向けバイオ燃料製造へ国産材供給

  1. 脱炭素への取り組みを評価する世界基準となる「ACT」=低炭素移行評価の導入を支援する企業が、福岡市に設立されました。

  2. Verra(ヴェラ/ベラ)とは|用語集・意味

  3. 生物炭 (Biochar)|用語集・意味

  4. ブルーカーボンとは|用語集・意味

  5. 再生可能エネルギーとは|用語集・意味

  6. 再生可能エネルギー証書(REC)とは|用語集・意味

  7. 炭素証書 (Carbon Certificate)|用語集・意味

  8. 排出権取引 (Emissions Trading)|用語集・意味

  9. 京都議定書|用語集・意味

  10. グリーンエネルギー (Green Energy)|用語集・意味

  11. ICE グローバル・カーボン・インデックスとは(Global Carbon Index)

  12. 削減クレジット (Reduction Credit)|用語集・意味

  1. カーボンニュートラルとは|用語集・意味

  2. 削減プロジェクト (Reduction Project)|用語集・意味

  3. トレーディングプラットフォーム (Trading Platform)|用語集・意味

  4. 脱炭素への取り組みを評価する世界基準となる「ACT」=低炭素移行評価の導入を支援する企業が、福岡市に設立されました。

  5. 財務省は14日、脱炭素社会への移行を目的とした新たな国債「GX経済移行債」の入札を実施しました。政府による「移行債」の発行は世界で初めてです。

  6. 温室効果ガスとは|用語集・意味

  7. キャップ・アンド・トレード (Cap-and-Trade)|用語集・意味

  8. カーボンプライシング (Carbon Pricing)|用語集・意味

  9. オフセットクレジット (Offset Credit)|用語集・意味

  10. ボランタリークレジットとは|用語集・意味

  11. 植林とは|用語集・意味

  12. 【気候変動と脱炭素ビジネス②】日本の課題はトヨタと原子力発電所