経済産業省は1月23日、鉄鋼業のGX(グリーントランスフォーメーション)を推進するため、GX投資により製造時のCO2排出量を削減した鉄鋼材料「グリーン鉄(グリーンスチール)」の市場拡大に向けた施策をとりまとめた報告書を公表した。
今後、取り組むべきアクションとして、GX価値の訴求と国際基準への反映、カーボン・フットプリントの活用拡大など4つのプランを掲げ、官民挙げての取り組みが重要とした。
鉄鋼業の脱炭素化・CN実現に向けた取り組みを促進
報告書によると、今後、官民挙げて、「GX投資を通じて、CO2排出量を従来よりも大幅に下げていくことの価値(GX価値)の訴求と国際標準への反映」「鋼材のカーボン・フットプリント(CFP)の活用拡大」「グリーン鉄に対する需要側への支援」「供給側への支援」の4つに取り組むことが重要だとしている。
鉄鋼業の脱炭素化やカーボンニュートラル社会の実現に向けて、鉄鉱石からの還元時に排出される温室効果ガス(GHG)の削減が必須であり、GX投資によって、従来のプロセスから大幅にGHGを削減していくことが求められている。一方、脱炭素化された製鉄プロセスによる鉄鋼製品の製造コストは、初期においては、従来の製品よりも割高になる可能性がある。
そこで、需要側への支援では、政府による優先的調達や政府による購入支援などの政策を重点的に講じ、市場拡大を図っていくことを提案している。具体的には、グリーン購入法などによる政府による優先的調達、CEV(Clean Energy Vehicle)補助金における自動車製造業者へのインセンティブ付与をあげている。CEV補助金では、環境負荷の低い鋼材の利用に取り組む自動車製造事業者が、グリーン鉄の採用に計画的に取り組む場合、それを考慮するインセンティブを設けていくべきだといている。
今後に向けたアクションプラン
4つを柱とする施策の概要は以下の通り。
(1)GX価値の訴求、国際標準への反映
- GX価値の意義についての国内外の理解促進。
- Worldsteel(世界の鉄鋼企業が加盟する団体)や国際イニシアティブとの連携。
- GX推進のためのグリーン鉄が国際的に製品のCFPが低いものと評価される手法についての国内外の議論促進。
- 鉄鋼製品に係るCFPの製品別算定ルール策定。国のCFPガイドラインへの反映。建築物のライフサイクルアセスメント(LCA)等の国の施策への採用検討。
(2)鋼材のCFP活用拡大
- 需要家におけるCFPの活用促進。低環境負荷鋼材の利用拡大。
- 鋼材のCFPデータの整備・開示の推進。鋼材の非化石証書利用の考え方の整理。 ※非化石証書を活用した電力を使用した鋼材については、鉄鋼業から直接排出されるGHGの排出量をGX投資によって削減することを論点としてきたため、今回の報告書では、主として扱うテーマではないとしている。一方で、非化石証書を活用した鋼材について、非化石証書の鋼材への割り付け方等の運用方法については様々な方法が考えられ、運用の透明性を確保する上でも、鉄鋼業界内で広く議論・検討が深まっていくことに期待を寄せている。
(3)需要側への支援
- 「GX推進のためのグリーン鉄」の生産初期段階における政府による優先的調達・購入などを通じた重点的支援。※企業単位での追加的な直接的排出削減行動による大きな環境負荷の低減があり、排出削減行動に伴うコストを上乗せした場合には、一般的な製品よりも価格が大きく上 昇する鋼材を「GX推進のためのグリーン鉄」という。
- CEV補助金における自動車製造業者へのインセンティブ付与。
(4)供給側への支援
- 複線的な技術開発や設備投資支援・税制措置など供給側に対する支援。
- 関係事業者間の連携を通じた、鉄スクラップの有効活用を促進。
早期の行動が必要
経済産業省では、2024年10月に「GX推進のためのグリーン鉄研究会」を設置し、グリーン鉄の市場拡大のためのアクションプラン等を検討し、このほど、とりまとめを行った。
国内では鉄鋼業の具体的な脱炭素化に向けたGX投資が進められようとしている。また、世界的にも鉄鋼業の脱炭素化に向けて、関係するルール作りが動き出そうとしている。
この報告書では、GX推進のためのグリーン鉄の市場拡大に向けては、現時点の行動が大きな意味を持つと指摘し、この研究会の検討結果を踏まえ、政府や関係者の早期の行動を求めている。関係者による早期の行動の必要性についての認識共有を促すためのイメージ図も示している。

(出所:経済産業省)
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/0484ae5c-a887-4731-833c-e810daefba33