国際自然保護連合(IUCN)は10月9日~10月15日、アラブ首長国連邦・アブダビにおいて、自然保護に関する世界最大規模の国際会議「世界自然保護会議(WCC)2025」を開催した。
会員総会では、ネイチャーポジティブの実現に向けて、約束から行動へ移行するための行動への呼びかけが発出されたほか、世界自然保護フォーラムでは、ハイレベル対話やテーマ別会合など、約1000のイベントが行われた。
約1万人が参加したWCC2025、外務省・環境省も出席

「世界自然保護会議(WCC)2025」(出所:国際自然保護連合)
「WCC2025」には、対面またはオンライン合わせて約1万人が参加。日本からは、外務省・環境省に加え、IUCN日本委員会(IUCN-J)などのNGOが出席した。
環境省は、世界自然保護フォーラムで主催イベントを開催。このほか各種イベントに講演者やパネリストなどとして登壇し、保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM)や自然を活用した解決策(NbS)など、日本の生物多様性保全の取り組みを説明した。
IUCNーJは、日本委員会としてブースを設置し、2026年7月14日・15日に熊本県熊本市で開催する第2回グローバルネイチャーポジティブサミットの告知を行ったほか、会員団体の企業の取り組みとして、竹中工務店技術研究所とNTT宇宙環境エネルギー研究所の事例を挙げ、紹介した。
野心と共同行動の大幅強化を
「Abu Dhabi Call to Action(行動への呼びかけ)」では、生物多様性の国際的枠組み、パリ協定、持続可能な開発目標(SDGs)の2030年目標達成まで残り5年となる中、自然、地球および人類の未来に向けた以下の5つの主要な方向性についての行動を呼びかけた。
- 自然が人類と地球の幸福の基盤であることの再確認
- 多国間主義と集団的行動、協力及びリーダーシップの強化
- 正義の確保と社会全体の包括的かつ衡平な参加
- 行動のための科学・知識・革新・教育の推進
- 自然と気候変動対策のための資源の拡充と調整
会員総会では、「Abu Dhabi Call to Action」の発出のほか、役員選挙、動議の採択などが行われた。また、約束を行動に移すため、IUCNの新たな20年戦略ビジョンと4カ年プログラム(2026-2029年)を採択した。プログラムでは、今後4年間の地球規模の保全活動を推進するためのロードマップを示し、具体的な測定可能な成果を出すとしている。
次回会合では、事前のオンライン投票にかけられなかった生物多様性保全などに係る39件の動議と、IUCNのガバナンスに係る4件の動議が承認された。また緊急動議として、8件が承認された。
【参考】
環境省―IUCN世界自然保護会議(WCC)2025の結果について
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/3172b1b9-ebcb-47ad-9194-a9bc5e1354b6