日本通運、新幹線でサステナブルに荷物を即日配達 CO2排出を約95%削減

日本通運(東京都千代田区)は12月23日、さらなるモーダルシフト推進に向け、ジェイアール東日本物流(JR東日本物流/同・墨田区)と鉄道利用運送契約を締結した。新幹線を利用した荷物輸送サービス「はこビュンQuick」を活用した新たな輸送サービスを構築する。新幹線の即時性、定時性、安定性を生かし、多様な顧客のニーズに対応する即日配達に対応する、サステナブルな輸送サービスとして、社会課題の解決を目指す。

緊急輸送でトライアルを実施

その実用化に向け、12月18日に、機械系保守パーツの緊急輸送について、このスキームを利用したトライアル輸送を実施した。具体的には、日本通運が都内拠点に保管している顧客の製品を東京駅まで輸送、JR東日本物流が「はこビュンQuick」を利用した新幹線輸送と、着駅から宮城県仙台市にあるエンドユーザーまでのラストワンマイル配送を実施した。

その結果、自動車輸送と比較し、所要時間は約0.5~1時間短縮、CO2の排出量は約95%削減となり、トータルコストも削減することができた。今後、今回のトライアル結果の検証を進め、環境に配慮した即日配達の需要に対応可能なサービスとして、早期の商品化を目指す。

トライアル輸送の様子(出所:日本通運)

トライアル輸送の様子(出所:日本通運)

環境に配慮したサステナブルなサービスを拡充へ

日本通運は、NIPPON EXPRESSホールディングス(東京都千代田区)グループ(NXグループ)の中核会社。鉄道や船舶を利用したモーダルシフトを積極的に進め、複数の輸送モードを組み合わせた柔軟なロジスティクスソリューションの提供や、顧客のCO2排出量の削減に貢献するサービスの創出に取り組んでいる。

たとえば、日本通運は、2023年8月、NXグループの内航船「ひまわり」と鉄道輸送を組み合わせ、国際海上コンテナを国内中継輸送するサービス「Sea & Rail FT」を開始した。また6月、荷物1個から鉄道輸送・海上輸送を利用してCO2排出量の削減(環境貢献)を実現できる、企業向け環境配慮型小口輸送サービス「NXカーボンmini」の販売を、関東発全国向けの荷物を対象に開始した。

NXグループでは、あらゆる輸送モードを駆使し、環境に配慮したサステナブルなサービスの拡充に努めていくとしている。

新幹線を活用した高速・多量輸送の事業化検証も実施

JR東日本物流が提供する「はこビュンQuick」は、新幹線を活用して、急ぎの荷物を安全に、確実に緊急輸送するサービス。輸送を希望する列車の発車時刻30分前まで(金沢駅のみ出発60分前まで)に、事前予約不要で受付できる。東京と仙台、盛岡、新潟、長野、金沢を結ぶエリアが対象で、駅に持ち込み、駅に受け取る。サイズは120サイズまで。

JR東日本物流は、「物流の2024年問題」や「CO2排出量削減」「地方創生」等、社会的課題の解決の一助を担うことを目的に、新幹線を活用した高速・多量輸送の事業化検証を実施している。3月に実施した、2023年度4回目となるトライアルでは、新潟駅から東京駅への多量輸送を実施し、約350箱を輸送した。

また、東海旅客鉄道(JR東海/愛知県名古屋市)とも連携し、一部荷物は東海道新幹線に載せ替え名古屋駅へ輸送したほか、海や空の便とも連携し、広範な地域への荷物輸送も行った。さらに、2024年度のトライアルでは、引越家財を扱う新たなパートナーとも連携し、実際のニーズの確認やオペレーションの検証などを行った。2025年度中の事業化を目指している。

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/315de2d4-37b9-43c1-b1d6-6bd0bd661a8e

最新情報

最新情報
関連用語
関連動画
  1. 政府、温対法改正案を閣議決定し二国間クレジット制度を強化

  2. 神戸製鋼、技術研究所にソーラーカーポート導入 CO2年間300t削減

  3. JPモルガン、ESGレポート2023でカーボンクレジットの利用と投資拡大を強調 VCMの発展に寄与目指す

  4. 気候関連データの活用と適応策の実践に向けたシンポジウム開催、環境省ほか

  5. 住友商事、アフリカでマングローブ植林由来カーボンクレジット事業に参入

  6. 東京メトロ、「大手町」など7駅にカーボンオフセット熱メニュー導入

  7. 三菱総研ら、ベトナムでの稲作に農業残渣由来バイオスティミュラントを活用

  8. ヤマト運輸、 クレジットでオフセットした宅配サービスでカーボンニュートラル宣言

  9. アーバー、マイクロソフトと提携し25,000トンの炭素除去を実現

  10. 柑橘類系残渣を活用してJ-クレジットの創出へ 愛媛県、官民で連携

  11. ディープスカイ、マイクロソフトとカナダロイヤル銀行に1万の炭素除去クレジットを販売

  12. 2026年度から排出量取引制度実施へ 改正GX推進法案などを閣議決定

  1. 合成燃料(e-fuel)とは|用語集・意味

  2. 土地利用変化とは|用語集・意味

  3. 天然ガスを原料に1日1.7トンの水素を製造可能 カーボンニュートラル実現に向けて製造プラントが完成

  4. CCUSとは(Carbon Capture Utilization and Storage)二酸化炭素回収・利用・貯留|用語集・意味

  5. 地球温暖化防止 (Climate Mitigation)|用語集・意味

  6. バイオマスとは|用語集・意味

  7. 【財務省】新国債「GX経済移行債」の入札実施 世界初の政府による「移行債」

  8. 京都議定書|用語集・意味

  9. 直接空気回収技術(DAC)とは|用語集・意味

  10. トレーディングプラットフォーム (Trading Platform)|用語集・意味

  11. 財務省は14日、脱炭素社会への移行を目的とした新たな国債「GX経済移行債」の入札を実施しました。政府による「移行債」の発行は世界で初めてです。

  12. クリーンエネルギー|用語集・意味

  1. グリーン成長戦略とは|用語集・意味

  2. CCUSとは(Carbon Capture Utilization and Storage)二酸化炭素回収・利用・貯留|用語集・意味

  3. 炭素市場とは|用語集・意味

  4. CCU(Carbon Dioxide Capture and Utilization)とは|用語集・意味

  5. ICE グローバル・カーボン・インデックスとは(Global Carbon Index)

  6. カーボンプライシング (Carbon Pricing)|用語集・意味

  7. ボランタリー市場(Voluntary Carbon Market, VCM)|用語集・意味

  8. 持続可能な開発 (Sustainable Development)|用語集・意味

  9. カーボンオフセット (Carbon Offset)|用語集・意味

  10. カーボンリムーバル(Carbon Removal)|用語集・意味

  11. 京都議定書|用語集・意味

  12. 【FAEGER】未来の農業に挑む!脱炭素農業とカーボンクレジットの可能性!