日本郵船、DACCSによるCO2除去クレジット付き船舶燃料を導入

日本郵船(東京都千代田区)は12月18日、大気中におけるCO2の直接除去・貯留(DACCS)により創出されるCO2除去クレジット(CDRクレジット)付き船舶燃料を調達するため、ENEOS(同)と覚書を締結したと発表した。

これによりENEOSは、米国テキサス州で2025年からの稼働を予定しているDACCSプラントにおいて創出されるCDRクレジットを2028年から5年間調達し、日本郵船に販売する。

米国1PointFiveの新設DACCSプラントを活用

両社は、CDRクレジット付き船舶燃料の売買に関する覚書を12月11日に締結した。

ENEOSが調達するCDRクレジットは、1PointFive(米国・テキサス州)が2025年からの稼働を予定しているDACCSプラントにおいて、DACCSより創出されるもの。

1PointFiveは、CO2回収・利用・貯留(CCUS)を手掛けており、カーボン・エンジニアリング社(カナダ)が有するDAC技術と、大気中のCO2を原料に低炭素燃料に製造する「AIR TO FUELSTM」ソリューション、地中貯留ハブを含む脱炭素化ソリューションの展開を通じて、2050年までに地球温暖化を1.5℃に抑えることを目指している

なお、全日本空輸(ANA/東京都港区)は2023年8月、1PointFiveと、航空会社として世界で初めて、大気中のCO2を直接回収・貯留するDirect Air Capture(DAC)技術由来の炭素除去クレジットの調達契約を締結したことを発表している。

CO2回収・利用・貯留(CCUS)を手掛ける1PointFiveは、カーボン・エンジニアリング社(カナダ)が有するDAC技術と、大気中のCO2を原料に低炭素燃料に製造する「AIR TO FUELSTM」ソリューション、地中貯留ハブを含む脱炭素化ソリューションの展開を通じて、2050年までに地球温暖化を1.5℃に抑えることを目指している。

「削減」と「除去」でCO2排出量ネットゼロへ

日本郵船は2050年のネットゼロ達成に向け、エネルギー効率の最大化と、従来の化石燃料からLNG、アンモニア、メタノール等の次世代燃料への転換により、CO2削減を推進している。また削減努力をしても排出を避けられない残余排出に対してはCDRクレジットによるオフセットを実施することで、「削減」と「除去」のアプローチによりCO2排出量ネットゼロを目指す。

DAC技術は、低炭素燃料が広く普及するまでの移行期間中に、海運会社や航空会社が排出削減目標の取り組みを進め、代替燃料の残余排出に対処する上で役立つ。また、DACとCO2を合わせたDACCSは、省エネ・次世代燃料への転換等では削減できない温室効果ガスの除去を実現するネガティブエミッション技術の一つで、エネルギー分野におけるネットゼロ実現に貢献する革新的な技術として期待されている。

自社と社会全体のネットゼロ実現へ取り組みを推進

ENEOSは2023年12月に、JX石油開発(東京都千代田区)とともに、オーストラリアの石油・ガス大手のSantos社との間で日豪間のCCSバリューチェーン構築に向けた共同検討に関する覚書を締結している。この共同検討は、ENEOSの製油所と日本国内の様々な産業から排出されるCO2を回収し、オーストラリアに海上輸送した上で、Santosが保有するムーンバ貯留サイトへの圧入・貯留を実施するCCSの事業性を調査するもの。さらに3社共同で、ムーンバ貯留サイトにおいてDACCSと合成燃料製造の検討を実施することとしている。

また、ENEOSは2024年1月、製造業、運輸業などの法人需要家向けに、カーボンクレジットを活用したカーボンオフセット燃料の販売を開始している。

ENEOSグループは、「第3次中期経営計画・カーボンニュートラル基本計画」に基づき、自社だけでなく社会全体のネットゼロ実現に向け、CCS・森林吸収・DACCS等による自社CO2の排出抑制・吸収、水素・バイオ燃料・再生可能エネルギー等のエネルギートランジションの推進による社会全体への排出削減に取り組んでいる。

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/181d5525-bf1e-4d26-9373-2a671e534cea

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