東京証券取引所は、11月から排出量の多い大手企業の参加を容易にすることで、日本の低迷する炭素クレジット市場を活性化させる計画です。2021年10月に日本政府認証の排出権を売買する市場を開設し、これまでに31万トンの排出権が取引されていますが、これは他国と比べると少ない数字です。例えば、2015年に取引が始まった韓国では初年度に570万トン、中国では2021年7月から年末までに1億7000万トン以上が取引されました。
日本では再生可能エネルギーの導入や森林の植林などで排出量を削減した企業や自治体のみが排出権(Jクレジット)の取引を行うことができます。しかし、年間のJクレジット創出量は100万トン程度にとどまり、取引相手は主に政府、地方企業、林業企業などに限られています。このため、排出量の多い企業にとって市場規模が小さく、参入の魅力が低い状況です。
東京証券取引所は、政府のグリーン・トランスフォーメーション(GX)リーグに参加する企業の市場参入を促進することで、この課題に対応しようとしています。GXリーグは脱炭素化に向けた国家的枠組みで、参加企業が国の目標を超えて排出量を削減した場合、その余剰分をクレジットとして販売することが可能になります。
GXリーグには、5月時点で750社以上が参加しており、新日本製鉄、ENEOS、東京電力ホールディングスなど排出量の多い企業も含まれています。参加企業の合計温室効果ガス排出量は、2022年の日本全体の温室効果ガス排出量11億3000万トンの50%以上を占めています。
排出権取引の拡大には金融庁の認可が必要であり、取引所は早ければ6月にも認可を受けることを目指しています。これにより、日本の炭素クレジット市場の拡大と活性化が期待されています。
【引用】
NIKKEI Asia. Tokyo exchange eyes expanded carbon credit trading by big companies