清水建設(東京都中央区)は2024年12月26日、セメント系固化材を使用する流動化処理土にバイオ炭を混合した環境配慮型埋戻し地盤材料「SUSMICS-S」を、実際の工事で初めて適用したと発表した。新築建物外周地盤の埋戻し工事にカーボンネガティブ仕様のSUSMICS-Sを使用し、バイオ炭に固定された約8トンのCO2を地盤内に貯留した。
バイオ炭の混合量を調整することでカーボンネガティブとなる
地盤の埋戻し工事に使われる流動化処理土は、建設残土などに水とセメント系固化材を混合して製造する資源循環型の地盤材料である一方、固化材として使用するセメントは製造時に多量のCO2を排出するため、環境配慮につながる技術の実用化が急務とされる。
バイオ炭の混合量を調整することでカーボンネガティブとなる
地盤の埋戻し工事に使われる流動化処理土は、建設残土などに水とセメント系固化材を混合して製造する資源循環型の地盤材料である一方、固化材として使用するセメントは製造時に多量のCO2を排出するため、環境配慮につながる技術の実用化が急務とされる。
SUSMICS-Sに使用するバイオ炭は、木質バイオマスの炭化物を粉体状にしたもので、木が成長過程で大気中から吸収したCO2を難分解性の炭素として内部に固定している。
埋戻し工事にSUSMICS-Sを利用すれば、バイオ炭に固定された炭素を地盤内に貯留することで、施工時のCO2排出量が削減される。特に、バイオ炭の混合量を調整し、CO2固定量が他の構成材料由来の排出量を上回る配合を適用すればカーボンネガティブとなる。
CO2排出量の削減率は178%に
今回の適用現場は「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業新築工事(B街区)」。流動化処理土1m3あたり40kgのバイオ炭を混合し、カーボンネガティブ仕様で配合した。このバイオ炭には1kgあたり実質2.3kg相当のCO2が固定されており、88m3のSUSMICS-Sを適用したことで、貯留量は約8トンとなった。
施工に伴うCO2排出量は、セメント系固化材由来のもの4.4トン、プラントへの輸送や荷揚げなどバイオ炭の利用に伴う付随的な排出量が0.18トンで、CO2排出量の削減率は178%に達した。
材料の製造方法もシンプル、施工性や品質も従来通り
同社は、SUSMICS-S製造時の簡便性について、既存の流動化処理土製造装置を利用し、建設残土と水に粉体状のバイオ炭とセメント系固化材を添加するだけで完了するとしている。また、施工面では従来の流動化処理土と同等の流動性があり、施工後の性能試験において品質基準も満たしているという。今後、同材料の適用先を山留めソイルセメント壁や建物基礎下地盤改良にも拡げていく考えだ。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/585d31f3-3dbf-412a-a634-60faa6d52109