三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京都港区)は3月25日、「第8回ESG金融ハイレベル・パネル」(3月13日開催)について開催報告を公表した。
この会合で環境省は、「グリーンな経済システムの構築に向けた金融行動に関する宣言」を発表し、第6次環境基本計画で掲げる「循環共生型社会」の実現に向けて、金融を通じたグリーンな経済システムの構築とESG金融を含むサステナブルファイナンスの促進を宣言した。
ESG金融ハイレベル・パネルとして、3つの宣言
具体的には、ESG金融ハイレベル・パネルとして、次の3つのことを宣言した。
- 気候変動対策、循環経済、ネイチャーポジティブ等の実現に資する投融資など、持続可能な社会の構築へと資金の流れをシフトする環境金融を拡大する。
- 地域課題の解決を経済的価値につなげ得る事業等に対し投融資・支援を行うことで、地域企業における経営のグリーン化を促進する。
- 既存の技術の社会実装だけでなく、新たなイノベーション創出の加速化に向けて、環境スタートアップへの投資を一層拡大していく。
第6次環境基本計画では、環境を基盤とした環境・経済・社会の統合的向上への高度化を図り、環境収容力を守り環境の質を上げることによって経済社会が成長・発展できる持続可能な社会としての「循環共生型社会」の実現を掲げている。
その実現に向けて、「ウェルビーイング」を最上位の目的として、ネット・ゼロ、循環経済、ネイチャーポジティブ等といった個別分野の環境政策を統合的に実施し、相乗効果(シナジー)を発揮させ、経済社会の構造的な課題の解決にも結びつけていくことが求められている。
ESG金融ハイレベル・パネル(第8回)について
環境省では、ESG金融懇談会提言(2018年7月)に基づき、金融・投資分野の関係業界トップと国が連携の上、ESG金融に関する意識と取り組みを高めていくための議論を行い、行動する場として「ESG金融ハイレベル・パネル」を設置し、この提言に基づく取り組み状況を定期的にフォローアップしてきた。
第8回となった今回の会合では、第6次環境基本計画の実行、ネイチャーポジティブ経済・サーキュラーエコノミーの実現に向け、多角的な視点から議論も行った。
会合の概要
会合は、第1部「第6次環境基本計画の実行」と、第2部「ネイチャーポジティブ経済・サーキュラーエコノミーの実現」で構成されている。
第1部では、第6次環境基本計画の内容を踏まえた「グリーンな経済システムの構築に向けた金融行動に関する宣言」を全委員賛同のもとに採択した。さらに、同計画の実行へ向け議論を行った。委員からは、日本におけるカーボン・クレジット市場の整備を進める上での課題や、不透明さを増す情勢の中での同宣言の貢献、サステナブルなビジネスモデルに向けた改革の必要性等についての意見が出された。
第2部では、ネイチャーポジティブ経済・サーキュラーエコノミーの実現について、金融業界の取り組みを紹介し、こうした取り組みを幅広い業態で推進していくための方策や課題等について議論を行った。
ネイチャーポジティブ経済の実現に関する議論では、地域金融機関の役割や気候変動の取り組みとの連携の重要性、資産運用会社におけるESG要素織り込みの必要性、日本企業の開示水準の高さ、日本企業における地方自治体と連携した新たなアクションの創出等についての意見が出された。サーキュラーエコノミーの実現に関する議論では、循環指標に関するデータや指標の整備・情報開示の必要性、投資教育の充実や消費者の意識醸成の重要性、資産の「所有」から「利用」への変革を促す取り組みの推進、循環経済への移行に向けたルール確立への期待等の意見があった。
また、浅尾 慶一郎環境大臣は開会挨拶で「米国政府の政策変更等をはじめとする環境政策を取り巻く国内外の動向の変化にあっても、取り組むべき課題の重要性は変わることはなく、国内外の環境関連投融資を拡大するためにも、ESG金融をより一層推進し、特に気候変動対策においては、2050年ネット・ゼロの実現に向けた対策を着実に進める」と述べた。
小林 史明環境副大臣は閉会挨拶で、採択された行動宣言の積極的な発信の重要性とともに「ESG投融資の加速化を通じた国内外の課題解決に向けて、世界の成長資金を日本に取り込むことが重要である」と述べた。
なおこの会合は、主催した環境省からの委託業務の一環として、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが開催した。
【参考】
環境省―グリーンな経済システムの構築に向けた金融行動に関する宣言について
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/d5175059-d864-499f-87e3-de6cb7a7c5a3