東京都は12月19日、J-クレジットを活用し中小企業の脱炭素化を支援する「中小企業等における排出量取引創出のためのモデル事業」の採択事業者を発表した。J-クレジットを創出する募集では、カワセ印刷(東京都港区)と德倉(同・江東区)の2社が選ばれた。
空調更新、太陽光導入などのCO2削減計画を推進
同事業は、中小企業に対して、CO2排出削減計画の策定から排出削減、J-クレジット制度を通じたクレジット創出や購入まで取り組みを助成金(最大1億円)と専門家の無料派遣でサポートするというもの。
事業メニューは、先に挙げたカーボンクレジット創出支援のほか、J-クレジットを購入し脱炭素化を図る枠組みの2つ。
カワセ印刷と德倉は今後、CO2排出削減計画を策定した上で、削減施策を実施する。取り組みを通じて創出したクレジットは取引市場で売却する。
2社が実施するCO2削減方法は、以下の通り。
- カワセ:工場における空調設備などの更新およびエネルギーマネジメントシステムの導入
- 德倉:本社における空調設備の更新、工場におけるボイラなどの更新および太陽光パネルの導入
病院や工場での省エネ・再エネ化、J-クレジット購入も
J-クレジット購入による脱炭素化支援では、医療法人財団小畑会(東京都千代田区)、村井(同・豊島区)、社会医療法人社団森山医会(同・江戸川区)が採択された。
3者は今後、CO2排出削減策を通じて排出削減を図るとともに、取引市場などでJ-クレジットを購入しカーボン・オフセットを実施する。
主なCO2排出削減施策は以下の通り。
- 小畑会および森山医会:病院における空調設備の更新、照明のLED化
- 村井:本社空調設備および工場製造設備の更新、太陽光パネルの導入
いずれの取り組みも事業期間は2024年度から2026年度までの3カ年。
中小企業によるオフセット活用拡大に向けて環境整備
都は、中小企業の脱炭素化に向けて、新たなカーボンクレジット取引システムの構築に向けた取り組みを推進している。6月には、中小企業向けの新たな取引システムの実現を表明、2025年3月までに開設するという方針を示した。
同市場では、J-クレジットのほか、海外のボランタリークレジットなどが扱われる予定だ。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/6d9694cb-7521-4cc0-86cf-1d98396c527f