政府は1月17日、地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化対策法/温対法)施行令の一部改正について閣議決定し、国際協力排出削減量(JCMクレジット)口座簿の記録事項、法人等保有口座の開設に伴う手数料の額などを定めるとともに、温室効果ガス算定排出量の報告制度(SHK制度)の算定方法について改めた。2024年に成立した改正地球温暖化対策法と同じく、2025年4月1日に施行される。
JCM実施体制の強化と新たな排出算定ルール
今回の施行令改正は、2024年に成立した改正地球温暖化対策推進法に伴うもの。二国間クレジット制度(JCM)の実施体制強化を目的としており、JCMクレジットの管理体制の整備や、法人等保有口座の記録事項を明確化した。また、温室効果ガスの算定・報告制度において、回収した二酸化炭素をカーボンリサイクル燃料の製造に利用する場合、その排出削減効果を算定に反映させることが新たに規定された。
今回の施行令改正のポイントは以下の通り。
二国間クレジット制度(JCM)の実施体制強化
JCMは、日本がパートナー国と協力して温室効果ガスの排出削減を行い、その成果をクレジットとして共有する制度。今回の改正では、JCMクレジットの管理体制が強化され、以下の点が新たに規定された。
- JCMクレジットの処分制限時の対応:民事執行法による差押えなどの処分制限が行われた場合、主務大臣がクレジットの振替を停止できるよう、法人等保有口座にその旨を記録すること
- 信託財産としてのJCMクレジット管理:JCMクレジットが信託財産となる場合、信託の記録申請や抹消、受託者の変更に関する手続きを定めること
- 口座開設等手数料の設定:法人等保有口座の開設やJCMクレジットの振替申請などに関する手数料とその納付方法を明確化
なお、口座開設などの手数料は以下のとおり。
- 法人等保有口座の開設の申請:14,400 円
- JCMクレジットの振替申請:2,500円
※政府保有口座に無償で移転する場合には免除 - 法人等保有口座の記録事項証明書の交付請求: 1,200 円
SHK制度の算定方法の見直し
温室効果ガス排出量の算定方法については、以下の見直しが行われた。
- 二酸化炭素の回収と利用:大気中に放出せずに回収した二酸化炭素を燃料製造に利用する場合、その回収量を控除して排出量を算定できることとする
- 算定対象活動の追加:一酸化二窒素の排出を伴う活動として、半導体素子の製造における酸化膜の形成を算定対象に追加した
算定方法検討会での議論を踏まえ閣議決定
2024年に施行された改正地球温暖化対策法では、JCMの実施体制を強化するため、政令において、JCMクレジットの管理等について所要の規定を定めることとされた。
「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度における算定方法検討会」での議論を踏まえ、SHK制度の算定方法について、回収したCO2を合成メタン等のカーボンリサイクル燃料の製造に利用する場合などについて、回収したことによる排出削減価値を基礎排出量の算定に反映させることが適当とされた。
これらを踏まえ、国際協力排出削減量口座簿の記録事項、法人等保有口座の開設に伴う手数料の額等を定めるとともに、温室効果ガス算定排出量の報告制度の算定方法について改めることを内容とする「地球温暖化対策の推進に関する法律施行令の一部を改正する政令」が、パブリックコメントを経て、1月17日に閣議決定された。
2024年成立した「改正温対法」について
なお、2024年に成立した改正地球温暖化対策推進法の主な要点は以下の通り。2025年4月1月に施行される。
(1)JCMの実施体制強化:JCMのクレジット発行、口座簿の管理等に関する主務大臣の手続きなどを規定。これらの手続きなどを実施する指定法人制度を創設する。
(2) 地域脱炭素化促進事業制度の拡充:これまで市町村のみが定めることができる再生可能エネルギーの促進区域等について、都道府県及び市町村が共同して定めることが可能に。複数市町村にわたる地域脱炭素化促進事業計画の認定は、都道府県が行う。
(3) その他:日常生活の温室効果ガス排出削減を促進するため、原材料調達から廃棄までのライフサイクル全体で排出量が少ない製品等の選択やライフスタイル転換を国民に促す規定を整備。

改正地球温暖化対策法の概要(出所:環境省)
なお、改正法で定められたJCMの指定実施機関については、1月末の関係省令公布の後に、公募を行う予定。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/58d2e8b2-9a2b-4b4c-ba0b-57a29a0bf291