Googleは気候変動対策に向けた一歩として、米国テネシー州のスタートアップHoloceneと契約を締結し、10万トンの二酸化炭素除去を実現するため1,000万ドルを投資しました。この直接空気回収(DAC)技術を使用したカーボンクレジットの購入契約は、2030年までに100ドル/トンという記録的な低価格で実施されます。これはDAC技術のコスト削減に重要な役割を果たすと期待されています。
コスト削減の背景
この価格が実現できた要因として、Googleの前払いによる資金提供と、米国政府の45Q税額控除があります。45Q税額控除は、削減された1トンのCO2に対して最大180ドルの税制優遇を提供し、カーボンキャプチャー技術への投資を促進しています。
Holoceneの革新的技術
Holoceneはエネルギー消費の少ないDAC技術を開発しています。同社は、エネルギー省のオークリッジ国立研究所で開発された技術を基に、空気中のCO2をアミノ酸と反応させ、固体クリスタルに変換する方法を採用。このクリスタルを軽く加熱して純粋なCO2を取り出し、貯蔵します。この技術は低温で運用でき、廃熱や炭素フリーエネルギーを利用することでエネルギーコストを削減し、持続可能性を高めます。
課題と見通し
しかし、DAC技術はまだ商業的には未成熟であり、Holoceneも大規模なCO2除去を達成した実績はありません。現在のDAC技術は年間2,000トン程度のCO2を除去する能力しかなく、商業化と大規模展開には多くの課題が残っています。
また、クリーンエネルギーの確保は、DACプラントやデータセンターとの競争が激化しており、リソース不足が懸念されています。それでもHoloceneは、2030年までに年間100万トンのCO2除去を目指し、Googleの支援を受けてその目標を達成することに自信を持っています。
この契約は、Googleがカーボン除去技術の拡大を支援する一環であり、気候目標達成に向けた重要なステップと見なされています。
【引用】
carboncredits.com. Google Strikes $100/ton Deal with US DAC Startup Holocene