東京都は9月19日、脱炭素化を契機とした臨海副都心のブランド力・魅力向上を目的に、一般社団法人東京臨海副都心まちづくり協議会(東京都江東区)と連携し、「臨海副都心カーボンニュートラル戦略」を策定し公表した。
次世代型ソーラーセル、水素混焼ボイラーなどの技術に着目
同戦略では、臨海副都心における2030年のカーボンハーフ、2050年のカーボンニュートラル達成を目標に掲げ、実現に向けて、事業者や研究機関と連携し、省エネルギー促進や再エネの導入、水素利活用などの取り組みを進めていく。
臨海副都心は、羽田空港に近く、東京湾岸道路を通じて成田空港にもつながり、国際・広域交通の結節点となっている。また、職・住・学・遊のバランスのとれた複合的なまちを目指し、親水環境を生かした都市開発や、地域熱供給の導入など環境に配慮したまちづくりが進められている。
こうした地域の特性を考慮し、同戦略では、軸となる理念として「脱炭素化と調和した社会・経済の実現によるまちの魅力向上」を掲げ、以下3つの将来像を設定した。
- 先進的な脱炭素化施策を推進しているまち
- 水と緑にあふれた持続可能な観光・交流や先進技術に触れられるまち
- 次世代の環境・防災機能を備えたまち
具体的には、脱炭素施策として、以下のような取り組みを実施していく。
省エネルギー促進(まちのCO2排出量の見える化)
まちづくり協議会のウェブサイトにて臨海副都心のCO2排出量を公表する。また、進捗を把握するとともに、まちの取り組みをPRする。
新規建築物のZEB化
土地処分を公募する際、建築物を従来の省エネ性能を上回るZEBとすることを公募要件に位置付ける。
再生可能エネルギー導入
次世代型ソーラーセルの検証として、次世代型ソーラーセルの実装検証を行うとともに、オフィスビル内などでの活用を見据えた検証を開始する。
環境価値の共同調達では、環境価値の調達に係る進出事業者のニーズを踏まえ、地域協働の取り組みとしてFIT非化石証書の共同調達を実施する。
水素利活用
水素混焼ボイラーの実装に向けて、全国初となる地域熱供給への水素混焼ボイラーの実装に向けた技術開発に取り組む。また、安全な貯蔵技術・供給技術の研究開発も推進する。
また、域内水素供給の技術開発として、臨海副都心での域内水素供給に向けて、研究機関・民間企業・都で連携し、共同溝などを活用した水素配管新技術を開発する。
脱炭素化は、まちのブランド・魅力向上につながる機会であり、進出事業者と開発者である都が連携して取り組むことが重要となる。今回の戦略は、まちづくり協議会、都港湾局を策定主体とし、同戦略において実施する臨海副都心のCO2排出量推計の対象エリアは、まちづくり協議会の会員企業が立地する台場地区、青海地区、有明南地区としている。
臨海副都心CO2排出量の内訳は?
臨海副都心の2019年のCO2排出量は、28.4万トン-CO2。このうち、9割は業務用部門のCO2排出量が占める。
エネルギー源別では、ビル照明など電気使用分が78%と、最も多くなっている。
官民で脱炭素化に向けた取り組みを推進へ
都はこれまで、臨海副都心における脱炭素化に向けて、一般社団法人東京臨海副都心まちづくり協議会と共同で「臨海副都心の脱炭素化検討委員会」を立ち上げ、エネルギー分野に焦点を当てた戦略の検討を進めてきた。今回の戦略は、その検討結果を踏まえ策定したもの。
なお、検討委員会には、国交省、港区、江東区のほか、サントリーホールディングス(東京都港区)、フジテレビジョン(同)、ゆりかもめ(同)、東京臨海熱供給(同)など17の事業者が参加している。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/dce455ba-4ffa-4a35-a3f2-2535e3024883