早稲田大学と島津製作所(京都市)は10月10日、脱炭素社会の実現や世界規模の環境問題などの解決に向けて研究、教育面で協力するための包括連携協定を結んだ。理系、文系の枠を超えてカーボンニュートラルに関連する計測機器の開発や研究に共同で取り組むほか、人材を相互派遣するなどして高度な知識や専門性を持つ技術者や研究者を育成する。
分析機器の開発に人文社会科学の知見を
協定締結を受け、両者は次世代医薬品や持続可能な食・農業、脱炭素社会の実現など地球環境に関わるグローバルな問題の解決に貢献できる測定機器の共同研究に乗り出す。早稲田大は総合大学として理系だけでなく、文系の学問分野も幅広くカバーしていることから、人文社会科学系の知見を分析機器の開発にも生かし、脱炭素社会に向けた人間の行動変容を見据えた研究を目指す。
研究とともに人材教育面での協力関係を深める
両者は2020年から、堀場製作所(京都府京都市)ともに分析装置の共同研究に取り組み、21年には混成成分に含まれる未知の成分を分析できる装置を製品化。23年8月には早稲田大と島津製作所による産学連携の共同研究拠点「早稲田大学島津連携ラボ」(東京都新宿区)を設立した。今回の協定により、従来の研究とともに教育面でも協力関係を深める狙いがある。
教育面では早稲田大の博士課程に島津製作所の社員を積極的に受け入れるほか、早稲田大の技術職員を島津製作に派遣し、最新分析機器を使った高度解析技術の習得を後押しする。
「総合知」で社会に貢献
早稲田大の田中愛治総長は協定締結時の記者会見で、「島津製作所と一緒に研究、人材育成ができるのは光栄だ。カーボンニュートラル社会に人間がどう行動するかを考え、互いに長所を出し合って『総合知』で協力していきたい」と提携への期待を示した。
島津製作所の糸井弘人常務執行役員CTOは「島津製作所の社是は科学技術で社会に貢献することだ。これまで早稲田大とは共同研究などで協業してきたが、今後は両者の知識や技術を融合し、さらに社会に貢献したい」と述べた。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/640a2853-c602-4a30-aa53-c3d37b51bb9e