アイフォレスト(東京都中央区)は10月17日、ヤマハ発動機(静岡県浜松市)など企業や研究機関5者と共同で、東京都多摩地域の森林を対象に、超高精度なCO2吸収量および生物多様性の定量的価値の算定方法を開発する実証実験を行うと発表した。
この取り組みは、アイフォレストが東京都の「吸収・除去系カーボンクレジット創出促進事業」の実施事業者に採択されたことを受けて実施するもの。アイフォレスト、ヤマハのほか、バイオーム(京都府京都市)、東京建物(東京都中央区)、一般社団法人ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム(NCCC)、九州大学都市研究センター(九大UI)が参画する。
ヤマハの無人ヘリコプターなどの先端技術を活用して森林価値を可視化
具体的には、生物多様性にも考慮した超高精度な森林価値の可視化モデルとそれに基づく実用可能なカーボンクレジットの新方法論を構築し、国内のレジストリー機関がカーボンクレジットの認証・発行するという一連の取り組みを行う。
実証ではまず、東京都檜原村内の私有林(約17ヘクタール)を対象に、ヤマハ発動機が保有する産業用無人ヘリコプターに搭載されたLiDAR(ライダー)により、森林資源の計測を実施する。また、バイオームが保有する日本最大級の生物分布ビッグデータや森林計測エリアにおける生物分布の現地調査データを用いて、1次データとなる生物のデータベースを構築する。
森林のあり姿を高精度で再現したデータは、アイフォレスト、ヤマハ発動機、九大UIの3者によるCO2吸収・固定量の将来予測モデリングを行う。この際、バイオームは、森林内の植生構造と鳥類・哺乳類・昆虫などの動物種のデータから、実証地における生物多様性の情報を定量化する。
これらの取り組みにより得られた各種データを活用し、アイフォレストと九大UIは、森林管理プロジェクトの新たな方法論の開発を進めていく。
新方法論は、NCCCでの方法論登録を想定しており、登録が認められた場合は、実証地を含む多摩地域を対象に、新方法論を用いたNCCCカーボンクレジットの創出事業に着手し、認証・発行を目指す。
さらに、東京建物との連携を通じて、同カーボンクレジットが、森林資源の適切な管理・利活用によるCO2吸収・除去量の増加と生物多様性の保全、地域経済の活性化を循環させるハブとして有効に機能する新たなビジネスモデルづくりを開始する予定だ。