竹中工務店(大阪府大阪市)は1月22日、緑地の樹木配置を最適化するシミュレーション技術「Optree(オプツリー)」を開発し、朝日生命(東京都千代田区)の社宅計画「あさひの杜国立」(同・国立市/2024年11月竣工)に初適用したと発表した。
従来比100倍の速度でシミュレーションが可能
緑地の樹木配置を最適化する同技術は、環境シミュレーションと最適化技術を組み合わせることで、敷地形状やコストなどのさまざまな制約条件のもと、環境性能の優れた案を効率的に見つけ出すことができる。また、ランドスケープ設計者が検討を行う従来の方法と比べて約100倍の速度で検討することが可能だ。
同技術を適用した朝日生命の社宅では、緑豊かな環境と同時に、居住者用菜園の日照確保、植栽コストの低減などの条件が求められていた。そこで同技術を活用し、1000本を超える樹木の配置パターンを約500ケース検討、10日間という短期間で効率的に最適解を導き出した。
その結果、最適化しなかった場合と比較して、緑視率(視界に含まれる緑の割合)15%増、菜園の日射量7%増、植栽コスト2.2%減を同時に達成した。

日照(左)と最適化された植木配置(右)のシミュレーション画面(出所:竹中工務店)
従来の設計手法と比べて100倍の速度で、最適な配置をシミュレーション
初期モデルとなる樹木配置を設定した後、コンピューターが自動的に、以下の3つのプロセスを繰り返し、最適な樹木配置を導き出す。
- 樹木配置モデル生成:木の大きさや植える場所を設定して3Dモデルを生成
- 環境シミュレーション:温熱・風・景観などへの効果をコンピューターで計算
- 最適化アルゴリズム:良い結果が出たパターンをもとに、最適化アルゴリズム を用いて樹木配置を効率的に改良(1.にもどる)
ランドスケープデザインをDX、ネイチャーポジティブの一環
樹木には屋外の暑熱環境・強風の緩和、景観の改善など、環境性能を高める重要な効果がある。快適な屋外空間づくりには、適切な配置計画によるランドスケープデザインが必要だ。
一方で、緑地デザインは、木々の配置パターンだけでも膨大な組み合わせが存在する。 これまでは、設計者が考えた数個の緑地デザイン案に対して行う環境シミュレーション(温度、風、日照などの環境状態を予測する技術)の中から最適案を選ぶため、検討できる範囲が限られていた。
今回開発された技術では、環境性能の良い案を優先的に評価していくため、全体の1%未満の検討数で最適な案を導き出せるという。
同社は今後、同技術を様々なプロジェクトに適用し、緑地環境の改善を図るとともに、生物多様性の保全・回復に寄与する「ネイチャーポジティブ」につながる新技術の開発に取り組んでいく考えだ。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/ce5895d8-4d11-469a-a3ad-70fc43533f1a