九電系、再エネ活用の新施策 太陽光併設蓄電池&大型潮流発電機の運用開始

九電みらいエナジー(福岡県福岡市)は2月4日、太陽光発電所に蓄電池を併設し、2つの市場で運用し収益の最適化を図る新たなビジネスモデルに向けた実証を行うと発表した。また、同日、国内初の商用スケール大型潮流発電による実証試験に向け、長崎県五島市沖奈留瀬戸の海底に1.1MWの大型潮流発電機を設置する工事を開始することも明らかにした。

太陽光併設の蓄電池を、卸電力市場と需給調整市場で運用

今回のマルチユース運用にあたり、同社は長崎県大村市にある「大村メガソーラー第4発電所」(出力2.73MW、年間発電量2.7GWh)に、蓄電池(出力1.99MW、容量7.404MWh)を併設する。運転開始は2025年度中の予定。

実証では、昼間は当該太陽光発電所から蓄電池に充電して出力制御を回避し、夕方は蓄電池から放電して売電するタイムシフトを行い、再エネの有効活用と価値向上を図る。

また、固定価格買取制度(FIT)からフィード・イン・プレミアム(FIP)へ転換する、卒FITを見据えた持続的なビジネスモデル構築に向けた取り組みも同時に実施される。卸電力市場と需給調整市場で取引する。運用では、九州電力(福岡県福岡市)総合研究所の発電量予測や蓄電池の最適運用に関する研究成果を活用するとしている。

九電みらいエナジーは今後も、自社設備への展開だけでなく、他社発電設備の運用受託も請け負い、事業を拡大していく。

(出所:九電みらいエナジー)

(出所:九電みらいエナジー)

なお、同実証は資源エネルギー庁の「令和6年度予算 再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業」に採択されたことを受けて実施するもの。

商用スケール大型潮流発電の実証 設置工事開始

同社が手がける「潮流発電」とは、潮の流れで発電するというもの。太陽光や風力と異なり、一定の規則性を持った潮汐力を活用することで年間を通じて安定的に電力が得られる。環境省では現在、高いポテンシャルを持つ離島エリアを中心に、潮流発電システムの商用化を目指している。

今回の大型潮流発電機設置も環境省からの受託事業の一環で、実証で使用する発電機は前回実証(2019年度から2021年度)の500kWから約2倍の規模にスケールアップしたほか、潮の向きに応じて発電機の向きを変える「ヨー制御」や流速に応じて羽の傾斜を変える「ピッチ制御」を導入し発電量や発電効率の向上を図った。

事業は4カ年計画(2022年度から2027年度)の予定で、2024年度中に、改造した潮流発電機を工事船舶にて設置し発電を行い、2025年度には実証を終え、機器回収する予定だ。総事業費は26億円。

主要設備(出所:九電みらいエナジー)

主要設備(出所:九電みらいエナジー)

1月31日には、改造した潮流発電機の見学会が開催され、環境省をはじめとする事業関係者約220人が参加した。

公開された大型潮流発電機(出所:九電みらいエナジー)

公開された大型潮流発電機(出所:九電みらいエナジー)

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/7f3706d9-aebd-4347-8ee2-82358a0e21f5

最新情報

最新情報
関連用語
関連動画
  1. NTTコミュニケーションズと住友林業、森林由来Jクレジット支援プラットフォーム『森かち』を提供開始

  2. SEC、米国企業にカーボンクレジットによるオフセットに関する開示を義務付け

  3. 炭素取引取引所(CTX)とUNFCCC CDMレジストリがパートナーシップ契約を更新

  4. ASEAN報告書は、地域に3兆ドルの炭素市場の機会があると予測

  5. Kita、炭素市場向けフルスペクトルアクティブリスクモニタリングサービスを開始

  6. 東大と北大、GX推進で連携 保有森林資本を有効活用

  7. 出光興産、燃料輸送車にCO2オフセット燃料を初導入 スコープ3削減に焦点

  8. アフリカの自主炭素市場は2050年までに1.5兆ドルを超えると予測

  9. 環境省、26団体の地域SDGs事業創出を支援 地域循環共生圏づくり構築へ

  10. 農畜産残渣の有効活用によるカーボンクレジット創出事業への参画について

  11. 日本製紙、石巻工場の燃料転換へ GX経済移行債を活用した政府支援に採択

  12. 東電JV、カーボンクレジットNFTを創出する実証実験

  1. カーボンクレジット市場の包括ガイド~基本概念から投資戦略まで~

  2. 脱炭素に向けて、二酸化炭素の排出量を売買できる「カーボン・クレジット市場」が11日、開設されました。

  3. 排出削減 (Emission Reduction)|用語集・意味

  4. カーボンフットプリント (Carbon Footprint)|用語集・意味

  5. グリーンエネルギー (Green Energy)|用語集・意味

  6. 炭素市場とは|用語集・意味

  7. カーボンファイナンス (Carbon Finance)|用語集・意味

  8. カーボンプライシング (Carbon Pricing)|用語集・意味

  9. J-クレジット (Japan Credit)|用語集・意味

  10. カーボンプライシングとは|用語集・意味

  11. 植林とは|用語集・意味

  12. パリ協定 (Paris Agreement)|用語集・意味

  1. 植林とは|用語集・意味

  2. カーボンファーミングとは|用語集・意味

  3. ネットゼロ (Net Zero)|用語集・意味

  4. 森林再生 (Afforestation/Reforestation, A/R)|用語集・意味

  5. カーボンオフセット (Carbon Offset)|用語集・意味

  6. ボランタリー市場(Voluntary Carbon Market, VCM)|用語集・意味

  7. 京都議定書|用語集・意味

  8. 炭素市場とは|用語集・意味

  9. ゴールドスタンダード認証温室効果ガス削減プロジェクト(Gold Standard Voluntary Emission Reduction, GS VER)|用語集・意味

  10. 【財務省】新国債「GX経済移行債」の入札実施 世界初の政府による「移行債」

  11. 脱炭素への取り組みを評価する世界基準となる「ACT」=低炭素移行評価の導入を支援する企業が、福岡市に設立されました。

  12. カーボンニュートラルとは|用語集・意味