中国電力(広島県広島市)と広島大学は4月11日、共同で取り組む「Gas-to-Lipidsバイオプロセスの実用化開発」が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「カーボンリサイクル・次世代火力発電技術開発/CO2有効利用拠点における技術開発」に採択されたと発表した。
2020年度から先行で取り組んできた同技術の実用化に向けて、今後2年間の予定で、設備改良やコスト低減の検討などの研究を進める。
先行研究の性能面・コスト面を解決へ
両者は、同事業に先行して、2020年度から実施してきたNEDO委託事業「Gas-to-Lipidsバイオプロセスの開発」に取り組んできた。
この先行研究では、二種類の微生物がもつ発酵機能を活用し、発電所などから排出されるCO2と、水素を反応させて付加価値の高い脂質を生産する技術の研究開発を行った。生成された脂質は、健康食品、化粧品、化学品、燃料などの幅広い製品の原料として活用できる可能性がある。

「Gas-to-Lipids バイオプロセス」概念図(出所:中国電力)
今回採択された事業では、同技術の実用化に向けて、先行研究から明らかになった性能面やコスト面での課題を解決するため、今後2年間の予定で試験設備の改良やコスト低減の検討などを進める。
NEDOのカーボンリサイクル実証研究拠点の試験設備を継続活用
具体的には、油脂発酵槽の加圧化による脂質の生産量向上や、発酵に必要な栄養分をより安価なものに切り替える ことなどによるコスト低減など、実用化に向けた研究を進めていく。
なお試験設備は、先行研究で広島県大崎上島町のカーボンリサイクル実証研究拠点に設置したベンチスケール規模の設備を引き続き使用する。

Gas-to-Lipidsバイオプロセス 試験設備全景(出所:広島大学)
NEDOのカーボンリサイクル実証研究拠点
カーボンリサイクル実証研究拠点は、2019年に経済産業省から発表された「カーボンリサイクル3Cイニシアティブ」に基づき、カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現を志す、複数の企業や大学などの活動拠点として広島県・大崎上島に整備された。
拠点内には、石炭ガス化燃料電池複合発電とCO2の分離・回収技術を組み合わせた石炭火力発電の実証試験を行う大崎発電所があり、そこで分離・回収したCO2をパイプラインで輸送し、「実証研究エリア」「藻類研究エリア」「基礎研究エリア」の3区域において、カーボンリサイクルの要素技術開発や実証研究が各施設で行われている。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/96035ea6-01bc-4b4d-88f1-c0a4e053857c