2023年度の国内GHG排出量、前年比4.2%減 過去最低に

環境省は4月25日、2023年度の国内のGHG排出・吸収量が、CO2換算で前年度比4.2%減の約10億1700万トンとなったと明かした。この数字は1990年のデータ収集開始以来、過去最低値だという。

原発再稼働などが主な要因

同省は排出量減少の主な要因として、原子力の再稼働により電源の脱炭素化が進んだことや製造業の国内生産活動の減少によるエネルギー消費量が減少したことなどを挙げる。

2023年度の発電電力量9877億kWhのうち再エネが占める割合は22.9%で、前年度から1ポイント増加。原子力は8.5%で、2022年度から2.9ポイント増加した。

(出所:環境省)

(出所:環境省)

産業部門は4%減、家庭部門は6.8%減

部門別では、産業部門は4%減(約1400万トン減)、運輸部門は0.7%減少(約140万トン減)、家庭部門は6.8%減少(約1080万トン減)となった。

このうち産業部門の減少要因としては、電力のCO2排出原単位(電力消費量当たりのCO2排出量)が改善したこと、製造業における国内生産活動が減少したことなどが、家庭部門については、電力のCO2排出原単位が改善したことや冬季が2022年度より暖かかったことなどが影響していると、同省は解説している。

部門別のCO2排出量の推移(出所:環境省)

部門別のCO2排出量の推移(出所:環境省)

森林由来のGHG削減量は22年とほぼ同量に

森林などによるGHG削減量は約5370万トンで、2022年度(約5380万トン)とほぼ同水準を維持した。これは2013年度排出量からの削減量(約3億7810万トン)の14.2%に相当するという。

ブルーカーボン生態系(藻場・マングローブ林)による吸収量は約34万トンで、今後は吸収源としての期待が大きい沖合のブルーカーボンについて関係省庁や民間企業と連携し、取り組みの強化を図る方針だ。

(出所:環境省)

(出所:環境省)

CCUやCO2吸収コンクリ導入が拡大

CCU技術では、特にCO2吸収型コンクリートの取り組みが拡大している。2023年度の同技術による吸収量(CO2固定量)は約121トンで、2022年度の約27トンから約4.5倍に増加した。今後はJ-クレジットへの組み込みも視野に、制度整備の加速が期待される。

(出所:環境省)

(出所:環境省)

代替フロンなど4ガスの排出量はさらに減少

2009年以降増加傾向にあった代替フロン類(HFCs、PFCs、SF6、NF3)の排出量は、2022年に減少に転じ、2023年は前年よりさらに排出量が減少し、排出量は前年比3.9%減(約150万トン源)の約3700万トンだった。これは、2019年のフロン排出抑制法改正を機に、低GWP冷媒への転換推進や機器使用時・廃棄時の排出対策などによる成果だと見られている。

(出所:環境省)

(出所:環境省)

【参考】
環境省―2023年度の我が国の温室効果ガス排出量及び吸収量について

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/274d3cc9-088f-4daf-b36f-8aa15e7659d4

最新情報

最新情報
関連用語
関連動画
  1. 新たなアバタブル報告書、自主的な炭素市場に数十億ドルが流入していることを明らかに

  2. 韓国、5つの新たな場所で炭素回収と利用の実現可能性を調査へ

  3. 山形県、県民のCO2排出量を見える化 「デカボMYスコア」で行動変容促進

  4. 商工中金、国内初・J-クレジット預金開始 預金5000万円で5t相殺

  5. Kita、炭素市場向けフルスペクトルアクティブリスクモニタリングサービスを開始

  6. カーボン・バニッシュ、CO2を迅速に除去する新しいアプローチを発表

  7. アスエネ、三井住友銀のGHG排出量見える化クラウドの事業承継・M&A完了

  8. フェイガー、ベトナム Thanh Phatとの脱炭素農業推進に関する覚書を締結

  9. 畑の温暖化ガス「N2O」を削減するダイズ・根粒菌共生系開発 東北大ら4者

  10. 三菱総研ら、ベトナムでの稲作に農業残渣由来バイオスティミュラントを活用

  11. ベトナムの炭素市場:グリーン成長を推進し、持続可能な投資を解放する

  12. 三菱商事ら、医薬品配送にEVトラックを活用 完全CO2フリー目指す

  1. ボランタリー市場(Voluntary Carbon Market, VCM)|用語集・意味

  2. 削減クレジット (Reduction Credit)|用語集・意味

  3. CCUSとは(Carbon Capture Utilization and Storage)二酸化炭素回収・利用・貯留|用語集・意味

  4. ブルーカーボンとは|用語集・意味

  5. オフセットクレジット (Offset Credit)|用語集・意味

  6. 排出削減 (Emission Reduction)|用語集・意味

  7. 温室効果ガス (Greenhouse Gas, GHG)|用語集・意味

  8. コンプライアンス市場 (Compliance Carbon Market)|用語集・意味

  9. 【政府】2040年に向け脱炭素化など国家戦略策定へ

  10. 【FAEGER】未来の農業に挑む!脱炭素農業とカーボンクレジットの可能性!

  11. カーボンニュートラル (Carbon Neutral)|用語集・意味

  12. カーボンファイナンス (Carbon Finance)|用語集・意味

  1. 国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)とは|用語集・意味

  2. ゴールドスタンダード認証温室効果ガス削減プロジェクト(Gold Standard Voluntary Emission Reduction, GS VER)|用語集・意味

  3. クリーン開発メカニズム (Clean Development Mechanism, CDM)|用語集・意味

  4. 再生可能エネルギーとは|用語集・意味

  5. キャップ・アンド・トレード (Cap-and-Trade)|用語集・意味

  6. 直接空気回収技術(DAC)とは|用語集・意味

  7. 【財務省】新国債「GX経済移行債」の入札実施 世界初の政府による「移行債」

  8. 排出削減単位 (Emission Reduction Unit, ERU)|用語集・意味

  9. グリーン電力証書とは|用語集・意味

  10. 生物炭 (Biochar)|用語集・意味

  11. 炭素市場とは|用語集・意味

  12. 排出削減 (Emission Reduction)|用語集・意味