名古屋大学発のスタートアップ・TOWING(愛知県名古屋市)と愛知県信用農業協同組合連合会(JA愛知信連/同)は5月1日、高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を愛知県内で活用する協定を締結したと発表した。県内バイオマスを活用した宙炭の製造、利用普及のほか、バイオ炭利用によるカーボンクレジットの創出や未利用バイオマス資源の調査・検討を実施し、環境負荷低減農業の実現に向けた対応力強化を図る。
収穫量の向上や炭素固定に期待
TOWINGが開発した宙炭は、地域未利用資源の炭化物に様々な機能を持つ微生物を培養した特殊肥料で、農作物の品質や収穫量の向上、農地への炭素固定など様々な効果がある。
同協定では、県内のバイオマスを用いて宙炭を製造し、販路を構築していく。県内の生産者に向けた普及、バイオ炭を農地に利用することによるカーボンクレジットの創出についての協業検討も目的とする。
農業由来のカーボンクレジット創出なども検討
愛知県内の生産者への宙炭を活用した農地利用実証試験の提案を行うほか、農業由来のカーボンクレジットの創出や販売、宙炭の原料となる畜糞など未利用バイオマス資源の調査を検討する。このうち未利用バイオマス資源調査では、県内の有機性バイオマスの排出事業者や堆肥センターの運営事業者などとのマッチングを行い、バイオマスの地産地消モデルの実現を目指す。
実証で成果を確認、今後も引き続き「宙炭」の試験導入を進める
愛知県は、農林水産省が2021年に策定した「みどりの食料システム戦略」が目標とする、農業分野におけるGHGの排出抑制や減化学肥料に伴う有機肥料の利活用についての取り組みを推進している。
この取り組みを後押しする製品の一つとして、県内のバイオマスを原料として、有機肥料を効率的に活用できる土づくりと、農地への炭素貯留を実現できる高機能バイオ炭「宙炭」の県内での活用の可能性について実証試験を行ってきた。
県内生産者やJAとの実証の中で、宙炭の農地への利用については一定の成果が確認されており、引き続き宙炭の販売に向けた試験導入活動を続けていく。
農地の生産性向上と脱炭素化を実現する高機能バイオ炭「宙炭」
TOWINGは、2020年2月に創業した名古屋大学発スタートアップ。高機能バイオ炭「宙炭」を開発し、2023年6月にJ-クレジット制度「バイオ炭の農地施用」の方法論でプログラム登録を完了している。
これまで農地の脱炭素化について三菱総合研究所、野村証券グループのほかメキシコなどと連携し実証を行ってきており、2024年10月には東邦ガスとともに、愛知県豊橋市中島処理場内にTOWINGの豊橋プラントを建設し、宙炭の量産に向けた検証を開始した。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/cfad3a41-46b9-4376-8b54-ca4fba5a231f