阪急電鉄(大阪府池田市)と西日本旅客鉄道(JR西日本/同・大阪市)、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro/同)は5月23日、3社で構成する「地域脱炭素推進コンソーシアム 関西まちWe’ll」(関西まちウェル)が関西15自治体と脱炭素社会の実現に向けた連携協定を順次締結すると発表した。家庭など太陽光発電電力のうち自家消費電力に含まれる環境価値からJ-クレジットの創出などに取り組む。
家庭や事業者の太陽光発電の環境価値をJークレジットに
関西まちウェルと15自治体は、連携協定に基づく取り組みの一つとして、「関西エネワ」プロジェクトを9月から開始する。
太陽光パネルを所有する家庭や事業者を会員として募り、太陽光パネルで発電された電力のうち自家消費電力に含まれる環境価値を提供してもらい、J-クレジットを創出するプロジェクト。創出したJ-クレジットは、公共交通のCO2排出量のオフセットに充て、環境負荷のさらなる低減を図るなど、各社で脱炭素施策に活用する。
また、J-クレジットの一部を売却して自治体へ寄附するなど、地域の活性化にも役立てる。プロジェクト参画者には、特典付与や収益還元などを行う予定だ。
鉄道事業者が、プログラム型のプロジェクトとしてJ-クレジットを創出するのは全国で初めて。プログラム型とは、複数の事業者・個人による太陽光パネルの導入等の削減・吸収活動を取りまとめて1つのプロジェクトとして登録する形態をいう。

関西まちウェルと自治体で行う「関西エネワ」のスキームイメージ(出所:阪神鉄道)
地域の脱炭素化へ効果的・広域的に施策を展開
連携協定を締結するのは、大阪市、豊中市、池田市、吹田市、高槻市、茨木市、箕面市、摂津市、島本町、尼崎市、西宮市、伊丹市、宝塚市、川西市、長岡京市の15自治体。池田市とは5月12日、大阪市とは5月20日に連携協定を締結した。
関西まちウェルと15自治体は、脱炭素社会の実現を目指し、再生可能エネルギーの導入や公共交通の利用促進など、地域の脱炭素化に資する施策に効果的かつ広域的に取り組んでいく。
この連携協定では、地域の脱炭素化に向けて関西まちウェルと自治体が連携して取り組む項目として、「地域の再生可能エネルギー電源の設置促進」や「公共交通の利用促進」などを定めている。J-クレジットを創出するプロジェクト「関西エネワ」は、「地域の再生可能エネルギー電源の設置促進」に基づく具体的な取り組みとして実施する。
コンソーシアム「関西まちウェル」、1月に結成
関西まちウェルは、阪急電鉄とJR西日本が1月に組成したコンソーシアム。5月14日にOsaka Metroが参画した。「公共交通を軸とした脱炭素社会の実現」と「地域の再生可能エネルギー電源の設置促進」を目的として、鉄道事業者3社で脱炭素化に資する取り組みを推進していく。
また、賛助会員のみずほ銀行(東京都千代田区)が、事業者に「関西エネワ」への参加を促すための情報発信や募集を行う。今後も、関西まちウェルの取り組みに賛同し、参画する公共交通事業者を増やしていくことで、さらに広域的に施策を進めていく予定。
バイウィルが「関西エネワ」を支援
バイウィル(東京都中央区)は5月23日、関西まちウェルの取り組みとともに、J-クレジットを創出するプロジェクト「関西エネワ」を支援すると発表した。「関西エネワ」においては、クレジットの創出支援から販売、分配までを担い、参画者の登録・管理などの運営も受託する。同社はこれまでJ-クレジットの創出支援・販売と、プロジェクト型のJ-クレジットの運営代行の豊富な実績がある。
【参考】
大阪府大阪市-地域脱炭素推進コンソーシアム関西まちWe’llと脱炭素社会の実現に向けた施策の推進に関する連携協定を締結しました
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/546d7477-11d3-43a0-b87b-0edd301ee860