国土交通省は5月21日、米国カリフォルニア州ロサンゼルス市で「鉄道の脱炭素フォーラム」を開催した。このイベントは、日本と同州の鉄道分野における脱炭素化に向けた協力関係促進を目的としたもので、カリフォルニア州運輸省(CalSTA)と共同で行われ、両地域の政府関係者や鉄道事業者、メーカー、研究機関らが参加した。
カリフォルニア州、2050年までに州内全体を結ぶゼロ・エミッション鉄道網構築を目指す
日本は、2050年までのカーボンニュートラル達成を、カリフォルニア州は2045年までの達成を目標に掲げ、共通ビジョンの下、気候変動問題という国際社会の重要な課題に取り組んでいる。
今回実施したフォーラムでは、日本は、「鉄道分野におけるカーボンニュートラル加速化検討会」の最終とりまとめに基づき、鉄道事業の脱炭素化や鉄道アセットを活用した取り組み、鉄道利用の近況について発表した。カリフォルニア州交通局は、「2024年カリフォルニア州鉄道計画(2024CaliforniaStateRailPlan)」を策定し、2050年までに州内全体を結ぶゼロ・エミッションの鉄道網の構築を目指していることを明かした。
また、日米の鉄道事業者が、鉄道分野の脱炭素化に向けた民間の取り組みとして、水素燃料や蓄電池を活用した車両の開発状況や高速鉄道建設における環境負荷低減策、公共交通指向型都市開発(TOD)の現状などについて説明した。各議題における発表終了後には、それぞれのテーマに沿った質疑応答やディスカッションも行われた。
カリフォルニア州運輸省のトックス・オミシャキン長官は、「鉄道分野の脱炭素化は、よりクリーンなカリフォルニア州を実現するための重要なステップであり、日本はよりクリーンな交通の未来を目指すために欠かせないパートナー」と述べた。国土交通省の田中 由紀国際統括官は、「日本とカリフォルニア州が有する鉄道分野の知見や技術を共有し合うことで、脱炭素社会の実現に向けた着実な進展につながる」とコメントした。
国交省は2024年6月、CalSTAとの間で「国土交通省とカリフォルニア州運輸省との間の鉄道交通の整備支援に関する覚書(LetterofIntent)」を締結した。同フォーラムは、これに基づき開催されたもの。
【参考】
国土交通省―国土交通省とカリフォルニア州運輸省による鉄道の脱炭素フォーラムの開催結果について~鉄道分野の脱炭素化に向けた日本と米国カリフォルニア州の協力関係を促進~
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/243729e0-f5ac-4c82-a2dc-b7b566dc0c05