農林水産分野におけるGHG排出削減技術の海外展開を後押し、支援施策を提示

農林水産省は5月30日、農林水産分野のGHG排出削減技術の海外展開を支援し、農業・食品分野への脱炭素投資の呼び込みや気候変動ビジネスに取り組む農業・食品企業の市場拡大を図るため、海外展開パッケージを策定・公表した。また、このパッケージの実行ツールとして、日本の企業と国内外のパートナーとのマッチングを図るコンソーシアムを設立。二国間クレジット(JCM)にもつながる脱炭素プロジェクトの形成を推進する。

JCMや技術・研究開発などを取りまとめた「ミドリ・インフィニティ」

パッケージの名称は、「農林水産分野GHG排出削減技術海外展開パッケージ(通称:MIDORI∞INFINITY/ミドリ・インフィニティ)」。このパッケージでは、海外展開が可能で食料安全保障に資する技術として、水田や畜産由来のメタン排出削減、農地土壌の炭素貯留の拡大、森林減少・劣化由来のCO2排出削減などを選定し、それら技術の海外展開を促進する施策(JCM、技術・研究開発など)と、民間事業者が国内外で活用可能な予算などを取りまとめている。11月の国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)を見据え、日本が有する食料安全保障に資するGHG排出削減技術の海外展開をサポートする。

「みどり脱炭素海外展開コンソーシアム」設立

また、このパッケージの実行ツールとして、「みどり脱炭素海外展開コンソーシアム」を設立した。日本の企業と国内外のパートナーとのマッチングを図り、JCMにもつながる脱炭素プロジェクトの形成を推進するのが目的で、6月4日に設立総会を開催した。このコンソーシアムは、「日ASEANみどり脱炭素コンソーシアム」を発展的に改組することにより設立し、取り組みの対象地域を、アジアモンスーン地域だけでなく全世界に拡大する。

COP30などでパッケージを国内外に発信

このパッケージでは、「農林水産省地球温暖化対策計画」(2025年4月改定)に掲載する日本のGHG排出削減技術のうち、海外展開が可能で食料安全保障に資する技術を選定し、それら技術の海外展開に利用可能なツールを取りまとめている。

今後、COP30などの場を通じて、このパッケージを国内外に発信するとともに、「みどり脱炭素海外展開コンソーシアム」などの活動を通じて具体的な脱炭素プロジェクトの形成を推進していく。また、日本のGHG排出削減技術の活用を通じて、世界の食料安全保障ひいては日本の食料安全保障の向上への貢献を目指すとともに、日本の農山漁村発の技術への投資を通じて、農山漁村の「稼ぐ力」の向上や地方創生にもつなげていく。

農林水産分野GHG排出削減技術海外展開パッケージ 概要(出所:農林水産省)

農林水産分野GHG排出削減技術海外展開パッケージ 概要(出所:農林水産省)

「基本的考え方」公表、意見交換を経て充実化

4月15日に公表した「農林水産分野GHG排出削減技術海外展開パッケージ 基本的考え方」について、海外展開に取り組む民間事業者と研究機関との意見交換会を開催した。これに基づき、民間事業者などが有する技術・取り組み、それら技術の海外展開の際に直面する課題や解決策などを整理し、内容を充実させ、パッケージとして取りまとめた。

【参考】
農林水産省―「農林水産分野GHG排出削減技術海外展開パッケージ」策定!(通称:MIDORI∞INFINITY,ミドリ・インフィニティ)
農林水産省―「みどり脱炭素海外展開コンソーシアム」の設立総会を開催します!

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/e0116fa4-ce43-4a73-906f-a6eabda2f3e0

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