サントリーホールディングス(大阪府大阪市)は6月11日、2025年内に予定されている「やまなしモデルP2Gシステム」の稼働を前に、グループとしての水素利活用の中長期計画「サントリーグリーン水素ビジョン」を発表した。コーポレートメッセージである「水と生きる」に基づき、水から生まれる水素の製造から物流・販売までバリューチェーン全体を担い、グリーン水素における内陸地域での地産地消モデルを構築する。
グリーン水素の「地産地消モデル」創出へ
具体的には、2つのフェーズに分けて取り組みを推進するという。
2025年のフェーズ1では、まず「やまなしモデルルP2Gシステム」で製造したグリーン水素の自社拠点活用を始める。天然水白州工場で水素ボイラーを稼働させ、熱殺菌工程に利用。白州蒸溜所における水素によるウイスキーの直火蒸溜も検討する。2027年以降のフェーズ2では、協業パートナーとともに、国内初となるグリーン水素の製造から販売までを一気通貫で行う。
製造は、サントリーが山梨県およびやまなしハイドロジェンカンパニー(山梨県甲府市)と行う。販売・物流では、巴商会(東京都大田区)と連携する。販売先は山梨県内だが、東京都での展開も検討する予定だ。
このほか、水素利活用施策として、国内外生産拠点での水素利活用や、「中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議」の枠組みを通じた知多蒸溜所熱源への水素利用も目指す。

「サントリーグリーン水素ビジョン」の事業スキーム(出所:サントリーホールディングス)
国内最大規模の水素製造装置「やまなしモデルP2Gシステム」
2021年に「水素基本戦略」が発表され、水素を日本の脱炭素社会実現に向けた重要なエネルギー源とする方針が示された。以降、国内では官民連携の下、水素供給網の構築が積極的に進められている。
こうした中、サントリーグループでも、山梨県ならびに技術開発参画企業9社とともに、国内最大規模となる16MW規模の水素製造設備「やまなしモデルP2Gシステム」を建設。「サントリー天然水 南アルプス白州工場」「サントリー白州蒸溜所」への水素導入に取り組んでいる。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/765d0289-2dd6-44ab-a128-7107dfff2f80