東急不動産など、藻場保全でJブルークレジット創出へ 勝浦市で協議会設置

東急不動産(東京都渋谷区)と同グループの東急リゾーツ&ステイ(同)は8月7日、千葉県勝浦市らと連携し、勝浦エリアでの藻場保全活動を開始したと発表した。5月に設立した「勝浦市藻場保全対策協議会」が主体となり、藻場の維持・回復や植食性魚類の捕獲、海洋環境の把握など、藻場保全事業を展開し、Jブルークレジットの認証取得に取り組む。

磯焼けの深刻化受け、官民連携

勝浦市は、海を主軸に発展してきたが、近年は地球温暖化による海水温の上昇や海水温上昇に伴う植食性魚類の増加などを背景に、磯焼けが深刻化している。

「勝浦市藻場保全対策協議会」は、これらの課題解決と勝浦エリアの魅力・価値向上を検討を目的に5月に設立。地元漁業関係者や自治体、研究機関、民間事業者とともに、取り組みを推進している。

9月にJブルークレジット申請へ

藻場保全活動では、6月に浜行川海域・興津海域の藻場現状把握のための調査を実施。水中ドローンにより藻場全体の位置・面積、海藻の種類・密度の概要を把握するとともに、植食性魚類の駆除を行う活動区、駆除を行わない対照区の位置・面積を決定し、活動区・対照区の藻場面積・海藻密度を測定した。

7月には、浜行川海域・興津海域にて設定した活動区で植食性魚類の駆除活動を実施した。8月は駆除活動後の活動区・対照区の藻場面積・海藻密度を測定、9月にJブルークレジットを申請する予定。10月以降は植食性魚類の駆除活動継続、藻場の新規造成の取り組みを検討し、2026年以降は藻場の新規造成の取り組みを開始する計画だ。

協議会構成メンバー

なお同協議会は、勝浦漁業協同組合、新勝浦市漁業協同組合、新勝浦市漁協浜行川藻場保全グループ、東急不動産、千葉県立中央博物館分館海の博物館、千葉県水産総合研究センター、千葉県勝浦水産事務所、勝浦市で構成。

東急不動産は、森林経営活動に基づくJ-クレジット創出などに取り組んでおり、今回、藻場保全に取り組む民間事業者として参画。「森」に加え、「海」の保全という新たな領域における取り組みを開始する。

藻場調査イメージ(出所:東急不動産)

藻場調査イメージ(出所:東急不動産)

イベントで取り組みをPR

東急不動産と東急リゾーツ&ステイは、勝浦市で、敷地面積138万m2の複合リゾートタウン「東急リゾートタウン勝浦」を運営。1976年の別荘地分譲開始以来、地元企業や地域住民と連携し、さまざまな取り組みを行っている。

今回の藻場保全活動の周知に向けては、9月20日に東急リゾートタウン勝浦でイベントを開催。藻場保全活動の紹介とともに、駆除した植食性魚類を活用したハンバーガーを提供するという。

植食性魚類を活用したフィッシュバーガー(出所:東急不動産)

植食性魚類を活用したフィッシュバーガー(出所:東急不動産)

東急不動産は、環境先進企業を目指し、さまざまな取り組みを積極的に進め、2022年末には事業所と保有施設(一部の共同事業案件などを除く)の100%再生可能エネルギーへの切り替えを完了。2024年3月にはRE100事務局より「RE100」の目標達成を、国内事業会社として初めて認定された。

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/1e6421b2-051b-4b66-9414-a00038d0f89f

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