岡山大学は8月13日、学生と地域企業が連携しCO2排出量を可視化することで、地域の脱炭素支援を実践的に展開するプロジェクトが始動したと発表した。7月7日には、岡山商工会議所と連携し、CO2排出量の可視化チャレンジに関するキックオフワークショップを開催しており、同大学生16人と同商工会議所職員2人が参加した。
学生らが地元企業のCFP算定に取り組む
学術研究院社会文化科学学域(経済)・天王寺谷 達将准教授のゼミに所属する学生が、岡山商工会議所の会員である東山冷機(岡山県岡山市)の製品・サービスを対象に、経済産業省および環境省のガイドラインに基づき、カーボンフットプリント(CFP)の算定に挑戦する。
今後の予定は、10月頃に学生らが東山冷機の工場見学を行い、製造プロセスを確認しながら必要なデータを収集し、年内のCFP算定を目指すという。また、この取り組みで得た経験を地域に広く還元し、地域全体の脱炭素経営への機運向上を図る。
この活動は、2024年度に同大学が環境省の「地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業」に採択され進めてきた取り組みを基盤としている。2025年度はその成果を踏まえ、支援体制・企業連携のさらなる強化を図りながら、より実践的で波及力のある取り組みへと発展させることとした。
7月のワークショップでは脱炭素化への考え方の共有や意見を交換
7月7日に開催されたワークショップでは、同大学研究・イノベーション共創機構産学官連携本部の舩倉 隆央副本部長が中小企業におけるカーボンニュートラルへの向き合い方を解説し、その後、天王寺谷准教授がCFPを通じた中小企業の企業価値向上と、2024年度の取り組み内容について説明を行った。
意見交換の場ではオゾン層への影響や再生フロンの効果について学生から多くの質問が寄せられ、活発に議論が展開された。
学生たちからは、「CO2排出量『見える化』だけでなく、オゾン層保護といった広範な環境影響についても深く考える契機となった」、「フロン類がCO2と比較して数千倍もの温室効果を持つことを初めて知り、その影響の大きさに驚いた」などの声が上がった。
東山冷機の小原 章弘代表取締役は、「自社の強みである再生フロン事業について、学生たちからさまざまなアイデアをいただきながら新たな価値創造に向けて精いっぱい取り組みたい」と今後の意気込みを語った。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/eeb303d8-9b79-4ca9-959d-0fa45fc19204