GX産業の拠点形成へ 経産省が「GX戦略地域」制度で提案募集

経済産業省は8月26日、経済成長と脱炭素を両立するGX産業構造の実現に向けて、規制・制度改革と支援策を一体で措置する「GX戦略地域」制度の具体化にあたり、自治体と事業者などから取り組み・計画についての提案募集を開始した。提案枠は「コンビナートなど再生型」「データセンター集積型」「脱炭素電源活用型」の3種。募集期間は10月27日まで。

提案内容を踏まえて改めてGX戦略地域を公募

「GX戦略地域」制度は、新時代のインフラ整備として、地域に偏在する脱炭素電源などを軸に、新たな電力・通信インフラの一体整備(ワット・ビット連携)の実現を目指すためのもの。

コンビナートなど再生型
コンビナートなどの資産を有効活用し、GXに関連する新規事業を創出しやすい産業集積・産業転換を目指す取り組み・計画。

データセンター集積型
電力系統などのインフラに配慮したGX型のデータセンターの適正立地を目指す取り組み・計画。例として、ブラジルの世界最大級のデータセンター集積地構想(約3GW)を挙げる。

脱炭素電源活用型
各地域において脱炭素電源の供給を拡大し、需要家がその脱炭素電源を活用することで、サプライチェーンの高度化を目指す取り組み・計画。例として、佐賀県鳥栖市の100%再エネ提供をする団地造成(2030年頃完了予定)を示す。

選定要件

「脱炭素電源活用型」については、脱炭素電源を活用したGXに資する案件を募集する。「コンビナートなど再生型」と「データセンター集積型」は、、より意義のある地域選定につながるよう、8月26日のGX実行会議で具体化・決定した要件を踏まえた案件を募集する。それぞれ「インフラ整備」「競争力強化」「脱炭素化」「地域との連携」の4つに関する選定要件がある。

このうち「データセンター集積型」は、系統の拡張余力を含めたインフラ整備の状況と、地域との共生を踏まえた計画の準備などの観点を中心に、選定要件を基本として総合的に評価する。選定要件として、将来的なGW級への拡張可能性があること、国際海底ケーブル・IX・APNなどネットワークインフラの整備・増強を含め、国内外のアクセス確保の可能性があること、十分な産業用地を用意できる見込みがあること(半径10Km圏内に、集積地全体で30ヘクタール以上をめどとする)などがある。

選考までの流れ

今回の提案内容を踏まえて、今後、改めてGX戦略地域の公募を行う予定。今後の公募スケジュールや詳細については、経済産業省ウェブサイトにて随時通知する。GX戦略地域に選定されれば、GX経済移行債を使った補助金などの支援が受けられる。全都道府県向け説明会も開催する予定。

GX戦略地域に関する提案・相談は、ウェブサイトのフォームから行う。提案を応募(登録)した都道府県で、データセンター集積型GX戦略地域への応募を検討する場合は、その地域の一般送配電事業者の専用窓口を合わせて紹介する。

GX産業を日本経済の牽引役に

2025年2月に閣議決定された「GX2040ビジョン」では、GX産業構造の実現に向けた取り組みの一つとしてGX産業立地政策の考え方が示された。GX産業立地政策では、2040年に向け、新たな成長産業として、ペロブスカイト電池、革新的蓄電池に加え、グリーンスチールや半導体、データセンターなどを、脱炭素電力などのクリーンエネルギーを利用した製品・サービスが付加価値を生むGX産業を、日本経済の牽引役として期待を寄せる。

これを踏まえ、2025年4月、内閣官房はワーキンググループを立ち上げ、GX産業立地政策の具体化を進め、前述の3類型に整理。8月26日のGX実行会議を経て、「GX戦略地域」制度を創設し、今回の提案募集を開始した。

【参考】
経済産業省―「GX戦略地域」に関する提案募集を開始します

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/e187711e-53fe-4066-b3cb-84452e8fa690

最新情報

最新情報
関連用語
関連動画
  1. 初のCNP認証 5つの港湾ターミナルの脱炭素化を評価 博多港に最高レベル

  2. 米国企業が再生可能エネルギーを強化、アマゾンが先頭に立つ

  3. 北ガス、南富良野町の森林由来J-クレジット創出 環境価値の地産地消支援

  4. COP29: 炭素市場が最終承認を得る

  5. Carbon EXとベトナム最大手のIT企業のFPT が、Carbon EXを通じたカーボンクレジットの供給・販売に向けたパートナーシップに関する覚書を締結

  6. ヴェラ、検証済み炭素基準プログラムに基づく初のバイオチャープロジェクトを発表

  7. PlanetとLaconicが協力し、AIを活用した洞察で森林炭素市場の発展に貢献

  8. 準天頂衛星「みちびき」を活用したトラックのCO2排出量把握実験開始

  9. カリフォルニア、ケベック、ワシントンがカーボンクレジットの共有市場形成を正式に検討

  10. 八千代エンジニアリング、ブルーカーボンの調査・評価検証 「手引書」に貢献

  11. EU、イノベーション基金からネットゼロプロジェクトに52億ドルを投資

  12. 日本館排出のCO2からメタン製造 大阪ガスが万博会場で実証

  1. 合成燃料(e-fuel)とは|用語集・意味

  2. 削減ポテンシャル (Reduction Potential)|用語集・意味

  3. 植林とは|用語集・意味

  4. 土地利用変化とは|用語集・意味

  5. 追加性 (Additionality)|用語集・意味

  6. ICE グローバル・カーボン・インデックスとは(Global Carbon Index)

  7. 京都議定書|用語集・意味

  8. 排出削減単位 (Emission Reduction Unit, ERU)|用語集・意味

  9. 排出権取引 (Emissions Trading)|用語集・意味

  10. 炭素市場インフラ (Carbon Market Infrastructure)|用語集・意味

  11. 財務省は14日、脱炭素社会への移行を目的とした新たな国債「GX経済移行債」の入札を実施しました。政府による「移行債」の発行は世界で初めてです。

  12. グリーントランスフォーメーション(GX)とは|用語集・意味

  1. 【政府】2040年に向け脱炭素化など国家戦略策定へ

  2. 【超入門】世界の一流企業が本気で買い求める「カーボンクレジット」って何?(Apple/ディズニー/マイクロソフト/脱炭素/気候変動)

  3. 【気候変動と脱炭素ビジネス①】日本人が知らない環境危機と地球に配慮したクリーンなビジネスとは?

  4. CCU(Carbon Dioxide Capture and Utilization)とは|用語集・意味

  5. 持続可能な開発 (Sustainable Development)|用語集・意味

  6. 脱炭素への取り組みを評価する世界基準となる「ACT」=低炭素移行評価の導入を支援する企業が、福岡市に設立されました。

  7. カーボンリムーバル(Carbon Removal)|用語集・意味

  8. カーボンフットプリントとは|用語集・意味

  9. 炭素隔離 (Carbon Sequestration)|用語集・意味

  10. 【気候変動と脱炭素ビジネス②】日本の課題はトヨタと原子力発電所

  11. 【財務省】新国債「GX経済移行債」の入札実施 世界初の政府による「移行債」

  12. “現代のゴールドラッシュ”とも言われる動きを取材しました。また、日本では、空気中の二酸化炭素を取り除く技術の開発が始まっています。