脱炭素輸送をSAFで加速 DHLと荷主企業が導入成果共有

DHLジャパン(東京都品川区)は10月31日、『DHL サステナブルロジスティクス環境セミナー2025』を大阪で開催した。持続可能な航空燃料(SAF)の利用拡大を通じて、サステナブルな国際貨物輸送をリードするDHL Expressが、サプライチェーンの脱炭素とSAFの利用拡大の機運を高めることを目的に実施した。

同セミナーでは基調講演のほかに、パネルディスカッションが行われた。SAFを活用したDHLの環境輸送サービス『GoGreen Plus』を活用している荷主企業4社を招き、製造業から小売業までそれぞれ産業の異なる各社が、同サービスを導入した背景や目的、導入後の効果や副次的なメリット、導入の経緯などを語った。

物流とエネルギーの両軸から見る脱炭素の最前線

セミナーの前半は、DHLジャパン 代表取締役社長 トニー・カーン氏と、コスモ石油 次世代プロジェクト推進部部長 後藤真也氏による基調講演が行われた。

トニー・カーン氏は、地球の平均気温の上昇を1.5℃に抑える最後のタイムリミットとして、2050年までにDHLグループが目指す温室効果ガス排出量のネットゼロ達成に向けた取り組みを説明。車両の電動化の進捗状況や、SAFの全世界での積極的な調達方針など、サステナブルなロジスティクスを実現するための施策を発表した。

DHLジャパン 代表取締役社長 トニー・カーン氏

DHLジャパン 代表取締役社長 トニー・カーン氏

後藤真也氏は、SAFの脱炭素の効果、およびサプライチェーンにおける脱炭素のScope1 から Scope 3までの定義について改めて説明。そのSAFの原料となる廃食用油の回収から、製造・販売までのサプライチェーンを確立し、日本で初めて国産SAFの量産化を実現させた実績と、国産SAFが持続可能な事業となるための、原料調達のネットワーク強化から、官民一体となって取り組むSAF認知度向上のための『Fry to Fly』などの社会的な機運の醸成などに関する取り組みについても紹介した。

コスモ石油 次世代プロジェクト推進部部長 後藤真也氏

コスモ石油 次世代プロジェクト推進部部長 後藤真也氏

各業界から4社が登壇し、SAF活用の実態を共有

セミナーの後半は、『荷主企業に聞く 輸送 ✕ 脱炭素のヒント』と題したパネルディスカッションが行われた。パネラーとして、京都で腕時計を製造・販売するKUOE GLOBAL代表取締役社長 内村健二氏、通貨処理機やデータソリューション事業を展開するグローリーより、執行役員総務本部長 サステナビリティ推進担当 三宅純子氏、半導体製造装置の開発・製造・販売を手掛けるSCREENセミコンダクターソリューションズより、保守部品を担当するGSS統轄部 副統轄部長 樋爪裕子氏、そして日本の越境ECをトータルで支援するZenGroup代表取締役 スロヴェイ・ヴィヤチェスラヴ氏の4名が登壇。DHLジャパンの営業企画部長 小島浩嗣氏が司会進行を務めた。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

SAFを使用したDHLの『GoGreen Plus』を、比較的早い時期に契約し活用を始めている4社の代表者が、導入の背景や経緯、実感したメリット、社内外の反応を語った。

経緯について、内村健二氏は、「消費者の環境への期待の高まりに応えるブランドとしての責任ある姿勢を示すため」と、欧米を中心に消費者からのサステナブルな輸送への期待の高まりを理由に上げた。樋爪裕子氏は、保守部品という「緊急で、かつ多品種・少量の出荷とCO2削減が両立できるソリューションとして採用を決めた」と述べた。

導入したメリットについて、三宅純子氏は、「契約を結んだ瞬間から、業務のオペレーション変更なく、脱炭素への一歩を踏み出せる」という即効性を挙げた。スロヴェイ・ヴィヤチェスラヴ氏は、「オンラインショッピングの購入者に対し、DHLでの出荷を選択することで環境によい輸送が実現できる選択肢を提供できるようになった」と述べた。また、実際に『GoGreen Plus』への切り替えを通じた削減効果をレポートとして可視化でき、社内での環境への意識も高まった(内村健二氏)という声も聞かれた。

導入に際して苦労した点や社内外の反応については、SAFを活用したサービスによるコスト増といった現実的な問題に対し、当初は環境に対するコスト負担を誰が・どの部門が負担すべきかというような議論もあったが、最終的にはすべての企業が、未来への投資として前向きに捉え、またブランドの価値向上や、信頼性の向上に繋がるメリットを享受する形で同サービスの導入に踏み切ったという。

パネルディスカッションの最後では、『GoGreen Plus』の大きなメリットとして、ビジネス効率を損ねることなく日常の業務オペレーションを変えずに脱炭素に取り組める点が強調された。また、副次的な効果として、顧客や消費者、ステークホルダーからの共感や信頼感が得られ、さらに自社の社員の意識変革にもつながっているという点が挙げられた。

同社は、このようなセミナーやイベントを通じて、サステナブルな国際輸送の実現に向けて荷主企業と共に歩みを進めていくとしている。

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/column/138c1767-58be-49ec-b0f3-dd431e36a404

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