26年度の第2フェーズを前に、次期GXリーグの制度設計とりまとめ 経産省

経済産業省は12月12日、「GXリーグにおけるサプライチェーンでの取組のあり方に関する研究会」のとりまとめを公表した。

GXリーグでは、2023年度から2025年度までの3年間を第1フェーズとし、スコープ1・2削減の重点期間と位置付け、そのための自主的な排出量取引制度「GX-ETS」などを運用してきた。2026年度の第2フェーズ以降は、GX-ETSがCO2排出量10万トン以上の企業に義務化され、GX製品・サービスの需要創出やサプライチェーンでの排出削減に注力する段階へと移行する。

従来品との違いが見えにくいGX製品・サービス需要拡大に向けたアプローチ

第2フェーズに突入するGXリーグ(出所:経済産業省)

第2フェーズに突入するGXリーグ(出所:経済産業省)

GX製品・サービスは、機能自体は従来品と変わらないケースが多く、自立的な市場の創出や需要拡大は難しい状況にある。

GX製品・サービスが有するプレミア価値(GX価値)向上に向けては、政府による、市場環境の整備や製品のGX価値を明確に判断できる表示ルールの整備や自ら積極的にGX製品を調達した企業が客観的に評価される仕組みづくりが求められる。

こうした現状を受け、次期GXリーグは、GX需要創出に向けたルール形成の枠組みを継続しながら、企業を起点としたボトムアップ型の課題解決を中心に進めることを活動の基軸とする。

次期GXリーグの参画要件に関しては、GX需要創出のための取り組みをGX製品・サービス調達に積極的に取り組む企業を評価できるよう仕組みを見直すこととした。

GXリーグの役割の変化(出所:経済産業省)

GXリーグの役割の変化(出所:経済産業省)

次期GXリーグ要件、スコープ3の定量目標義務付けず

GX需要創出では、GX製品・サービス調達とともに、サプライチェーン全体での排出削減が重要となる。特に、サプライチェーン上の関係事業者に対し、排出量の報告や削減を求めるにあたっては、自らの排出量を算定報告することが不可欠となる。

次期GXリーグでは、第1フェーズと同様に、自社スコープ1・2排出量の2030年度の排出削減目標の設定および進捗状況の報告と公開を義務付ける。なお、排出量取引制度の開始に伴い、現在GXリーグで実施している自主的な排出量取引は2025年度で終了となる。

また、企業がサプライチェーン全体での排出削減を定量的に把握するには、サプライチェーン上の中小企業と連携し、スコープ3排出量を算定する必要がある。ただし、排出量算定は、一次データの収集や算定範囲の違いに起因するデータの比較が難しいなどの技術的課題が残る。このため、現段階においては、スコープ3排出量の定量的な削減目標は、次期GXリーグへの参加要件に含まれない。

なお、事務的負担軽減の観点から、次期GXリーグでは、温対法に基づく温室効果ガス算定・報告・公表制度(SHK制度)と様式を統一し、写し提出による代替が可能となる。

GX需要創出などに関する取り組みも参画要件

また、GX需要創出には、BtoBの経済活動におけるGX製品・サービス調達と、最終消費者の選択の双方の取り組みが不可欠であり、サプライチェーンの中・下流の企業の役割が重視される。

このため、排出量の算定報告、削減目標の設定とともに、「GX需要創出などに係る取り組み」も次期GXリーグへの参画要件とする。

次期GXリーグの参加要件(出所:経済産業省)

次期GXリーグの参加要件(出所:経済産業省)

A(GX製品・サービスの需要創出)
GX率先実行宣言の実施やGX製品・サービスの調達・販売の積極的な取扱いなどを具体的な取り組みに定める。

B(サプライヤーとの協業の強化)
サプライチェーン上、取引関係のある大企業がサプライヤーである中小企業と協力し、スコープ3やCFPの算定・削減計画を策定することや、サプライヤーである中小企業への人的・技術的支援をしていることなどを具体的な取り組み内容とする。

C(ファイナンス面の取り組み)
金融機関によるサステナブルファイナンスなどの実施や金融機関などの支援機関によるエンゲージメントの実施を条件とし、金融機関が企業を評価する仕組みの構築を図る。

優れた取り組みを実践する企業をランキング形式で公表

GX価値を有する製品・サービスが最終消費者・企業に選択されるためには、GX価値を客観的に評価できる仕組みが有効であるとし、需要創出への貢献度合いや取組の先進性などを評価し公表する取り組みを検討する。

具体的には、ランキングや表彰といった形で上位5社程度の企業を政府が公表。ランキング上位企業には、GX予算の補助金や委託事業での加点インセンティブ付与も検討するという。

評価方法や評価基準については、年明け以降に改めて検討の場を設け、議論を継続する予定。

評価制度案の概要(出所経済産業省)

評価制度案の概要(出所経済産業省)

【参考】
経済産業省―GXリーグにおけるサプライチェーンでの取組のあり方に関する研究会 とりまとめ

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/22375cfa-2834-4001-8157-7090621209f4

最新情報

最新情報
関連用語
関連動画
  1. グローバル CCS 研究所が CCS の世界的現状 2024 レポートを発表

  2. パナソニック系、宮城県利府町の脱炭素化支援連携 東北の自治体と初連携

  3. 環境省、グリーンファイナンスのガイドライン見直し 国際原則の改訂を反映

  4. 東亜建設工業、中国木材の社有林で森林クレジット 初年度1700tのCO2吸収

  5. ボルボが炭素価格設定に挑戦、アウディ、BMW、メルセデス・ベンツもグリーンチャージをリード

  6. サウジアラビア、2027年の炭素市場立ち上げに近づく

  7. 脱炭素な暮らしに向けた課題・ボトルネックを解消へ 7件の「仕かけ」を支援

  8. 商船三井、欧州グリーン回廊開発に参画 低炭素燃料を活用

  9. ロスチャイルド社、新たな複数年契約でキャプチャー6から炭素クレジットを購入へ

  10. 大阪ガス、AIシステムでカーボンクレジットを短時間で評価 英・格付会社と提携

  11. KlimaDAO JAPAN、ブロックチェーンを活用した炭素クレジット市場を立ち上げ

  12. マイクロソフト、インドの植林プロジェクトと30年間の炭素クレジット契約を締結

  1. REDD+(Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation)|用語集・意味

  2. 土地利用変化とは|用語集・意味

  3. 削減クレジット (Reduction Credit)|用語集・意味

  4. 持続可能な開発 (Sustainable Development)|用語集・意味

  5. 炭素証書 (Carbon Certificate)|用語集・意味

  6. “現代のゴールドラッシュ”とも言われる動きを取材しました。また、日本では、空気中の二酸化炭素を取り除く技術の開発が始まっています。

  7. 温室効果ガス排出量 (GHG Emissions)|用語集・意味

  8. ゴールドスタンダード認証温室効果ガス削減プロジェクト(Gold Standard Voluntary Emission Reduction, GS VER)|用語集・意味

  9. 【政府】2040年に向け脱炭素化など国家戦略策定へ

  10. 【気候変動と脱炭素ビジネス②】日本の課題はトヨタと原子力発電所

  11. 持続可能なファイナンス (Sustainable Finance)|用語集・意味

  12. 脱炭素への取り組みを評価する世界基準となる「ACT」=低炭素移行評価の導入を支援する企業が、福岡市に設立されました。

  1. カーボンファーミングとは|用語集・意味

  2. 削減ポテンシャル (Reduction Potential)|用語集・意味

  3. グリーンエネルギー (Green Energy)|用語集・意味

  4. バイオマスとは|用語集・意味

  5. ボランタリークレジットとは|用語集・意味

  6. Verra(ヴェラ/ベラ)とは|用語集・意味

  7. 【財務省】新国債「GX経済移行債」の入札実施 世界初の政府による「移行債」

  8. 来月、閉鎖されるENEOSの和歌山製油所の跡地が、脱炭素社会のモデル地区として再整備されることになりました。

  9. ネットゼロ (Net Zero)|用語集・意味

  10. 脱炭素社会実現へ、公明がポイント還元制度など首相に提言

  11. 追加性 (Additionality)|用語集・意味

  12. 炭素予算 (Carbon Budget)|用語集・意味