大日本印刷(DNP/東京都新宿区)など6者は7月3日、プラスチック製容器包装を対象としたカーボンフットプリント(CFP)の算定ルールの共通化に取り組むと発表した。
2026年2月から3月までの報告を目指し策定する。同算定ルールは公開し、プラスチック製容器包装企業全体による環境配慮への取り組みを促進。サプライチェーン全体で脱炭素の推進を後押しするとともに、消費者が環境に配慮した製品を選択しやすい社会の実現を目指す。
環境省のモデル事業に採択
CFPとは、製品・サービスの原材料調達から廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通したGHG排出量を、CO2排出量として換算した値のこと。企業が消費者により確かな情報を提供し、脱炭素に貢献する製品・サービスを選びやすくする仕組みとして、CFPの算定と表示に関する統一ルールの策定が求められている。
今回の取り組みには、DNPのほか、ZACROS(旧藤森工業/東京都文京区)、東洋製罐(同・品川区)、TOPPAN(同・文京区)、プラスチック容器包装リサイクル推進協議会(同・港区)、一般社団法人PETボトル協議会(同・中央区)が参加する。実施期間は2025年6月~2026年3月。
DNPは、環境配慮製品・サービスの開発・提供を推進している。1997年には容器包装を対象としたCFP算定に着手しており、環境配慮素材を用いた製品のCO2排出量削減効果の確認などに活用してきた。また、包装関連製品の売上における「DNP環境配慮パッケージングGREEN PACKAGING(R)」の比率を2030年度に100%にするという目標を掲げ、GREEN PACKAGINGによるCO2削減効果の算出にも取り組んでいる。今回の取り組みに参画することによって、CO2排出量算定結果の信頼性向上を図るとともに、業界を挙げた環境情報開示を促進していく。
ZACROSは家庭やレストランなどで使用されるプラスチック製軟包装メーカーで、技術革新を通じて、容器包装業界の環境負荷の低減に取り組んできた。1997年にはつめかえパウチを上市し、他企業に先駆け「詰め替える」コンセプトを提案した。
TOPPANは、自社で製造するパッケージ、建装材、出版・商業印刷物などの各製品についてCFPを製品ごとに算出し、CO2排出量を最小化する取り組みに活用している。パッケージ分野では、アルミ箔の置き換えや再生材の活用、水性フレキソ印刷の導入など、CO2排出量削減につながる製品の開発・展開に注力する。また、CFPを自動計算するツール開発を進め、2024年7月にはハースト婦人画報社(東京都港区)による雑誌製造で排出されるCFPの算定をサポートした。
算定・表示ルールの共通化と人材育成を支援
環境省の「製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業」は、
- 業界団体や業界に広く影響力がある企業群(リーディング企業群)によるカーボンフットプリントの算定・表示ルールの共通化に向けた取り組み
- 地域のステークホルダー(自治体・商工会議所・金融機関・大学・支援機関・企業など)が行うカーボンフットプリントの算定/表示に係る人材育成の取り組み、
を支援するもの。
環境省は6月、この事業への参加企業・団体などについて、(1)業界団体・企業群支援において、大日本印刷など6者と、資生堂(東京都中央区)など化粧品業界8者の2グループを決定、(2)地域人材育成支援において、佐賀県、静岡県の2地域を決定した。なお同省は3月に、CFPの算定・表示に初めて取り組む入門者向けの入門ガイドも作成し公開している。
【参考】
環境省―「製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業(業界団体・企業群支援/地域人材育成支援)」への参加団体・企業等の決定について
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/91877dc0-7bf2-4446-991d-d59be46c0be9