ヤマハ発動機(静岡県磐田市)は9月3日、徳島県三好市および九州大学と、森林資源を活用した脱炭素地域づくりに関する包括連携協定「森を繋ぐ協定」を締結した。同市保有の未整備林を対象に、民間認証のボランタリークレジットと国のJークレジットの創出に取り組む。同社は無人ヘリコプターによるレーザ計測・解析技術を活用し、CO2吸収量を正確に把握することで森林経営の健全化や地域活性化に結び付ける。
生物多様性評価とスマート林業でクレジット化
四国の中央部に位置する三好市は、森林面積が市の総土地面積の約90%を占め、豊かな自然資源を有する。
今回の協定では、この森林資源を活用し、同市内にある2カ所の未整備市有林を先行実施エリアとし選定。1カ所では、生物多様性の評価も含めた民間の認証制度「ボランタリークレジット」を、もう1カ所では、データを活用したスマート林業による森林整備を実施し、国が認証する制度「Jークレジット」の創出を目指す。
ヤマハ発動機、高度計測・分析サービス「RINTO」で森林をデータ化
この事業においてヤマハ発動機は、高精度な森林情報の取得・解析技術を用い、CO2吸収量の測定に必要となる正確な森林資源の測量データの取得、および森林整備に協力する。
同社は、高度なレーザ計測・解析技術を用いて、森林の現況を3次元データで再現する森林デジタル化サービス「RINTO(リント)」を2023年9月から展開している。このサービスは、同社製の産業用無人ヘリコプターに高解像度LiDARを搭載し、森林の上空から1秒間に75万回のレーザーを照射。獲得した高密度な点群データを解析し、立木の位置や樹高、直径を判読した森林資源情報や地形情報などを可視化することで「森林の見える化」を可能にするもの。今回、このRINTOを活用し、カーボンクレジット創出や林業のスマート化、森林保全に取り組む。
九州大、経済的価値を測定・評価で協力
九州大学は、科学的根拠のあるカーボンクレジットの方法論に基づき、CO2吸収・固定量の調査を実施し、三好市が有する自然資本の豊かさを経済的価値として測定・評価することに貢献する。
3者はこのほか、正確で詳細な森林情報に基づく森林価値の向上や防災対策の支援、未整備森林の新たな活用策の模索についても連携する。

協定締結式の様子(出所:ヤマハ発動機)
【参考】
三好市―国立大学法人九州大学およびヤマハ発動機株式会社と包括連携協定を締結
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/c48a66e0-e5a0-494b-9fc5-d49451f8c698