三菱ガス化学(MGC/東京都千代田区)と地球環境産業技術研究機構(RITE)は6月16日、大阪・関西万博のDAC(直接空気回収)装置で回収したCO2の一部について、受渡しに係る契約を締結した。大気から回収したCO2を地中貯留する可能性を検討するほか、メタノール製造に利用する計画だという。
CCUS実装に向けたモデルケースとして期待
この取り組みは、CO2の回収から貯留、原料としての利用(Utilization)までを一体的に行う「CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization, and Storage)」の実用化モデルとして期待されている。
両者は、革新的環境技術の実用化を目指し、カーボンニュートラルの実現はもとより、過去に排出されたCO2の削減を図る「ビヨンド・ゼロ」の実現に向けた道筋を示したい考えだ。
RITEが主導する二酸化炭素地中貯留技術研究組合では、日本国内の貯留層に適した大規模な地中貯留技術の開発を進めており、MGCも2021年からこれに参加。両者は、CO2地中貯留(CCS)に関する技術開発を加速し、早期の社会実装に向けて連携してきたという。

大阪・関西万博「RITE 未来の森」でのDACの取り組み(出所:地球環境産業技術研究機構)
回収CO₂を原料とするメタノール製造と循環型プラットフォーム
また、MGCは、回収したCO2や廃棄物を原料にメタノールを製造するCCU技術も開発。このメタノールから化学品や燃料を製造して再利用する環境循環型プラットフォーム「Carbopath」を推進しており、大気から回収したCO2を地中貯留する可能性を検討するほか、メタノール製造に利用する計画だ。
今後も両者は、それぞれの専門性を生かした共同検討を強化し、カーボンニュートラル社会の早期構築に向けた取り組みを加速させていくとしている。
大阪・関西万博「RITE 未来の森」での取り組み
大阪・関西万博内の「RITE 未来の森」におけるRITEネガティブエミッション実証プラントでは、DAC実証装置を設置。万博会場の「カーボンリサイクルファクトリー」で、RITEのDAC実証機により、大気中から1日当たり300~500kgCO2を回収。回収したCO2の一部を、同敷地内のメタネーション設備に直接供給してe-メタンと合成し、会場内の迎賓館厨房などに都市ガスとして供給する試みを実施している。
このほか、名古屋大学による冷熱を利用した大気中CO2直接回収の研究開発プロジェクト、九州大学の『ビヨンド・ゼロ』社会実現に向けたCO2循環システム研究開発プロジェクトのDAC実証も行われている。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/64bbb2de-9336-40a3-842a-7949642d04f6