京都府は12月16日、京都府内の事業者や市町村等が温室効果ガス(GHG)削減を促進する手段として、「非化石証書」の共同購入プロジェクトを2024年度も実施すると発表した。安価・簡易に再エネ価値取引市場からの調達を可能にしたもので。同日より購入希望者の募集を開始した。
省エネ推進や再エネ導入だけでは不足するGHG排出量削減への取り組みに活用できる手段を提供し、GHG削減の取り組みを促進する。
共同購入で価格を抑制し再エネ化を促進
再エネ価値取引市場から非化石証書を購入することで、使用電力の再エネ化が可能となる。また、共同購入により、個別事業者ごとに調達するよりも価格を抑制した調達手法を提供する。
プロジェクトの対象者は、京都府内に事業所を有する事業者、京都府内の市町村など。募集期間は、第1回が12月16日~2025年1月31日、第2回が12月16日~2025年4月30日。再エネ価値取引市場は年4回開催され、このプロジェクトでは、2025年2月と5月の取引市場で調達する。
申込先は、非化石証書共同購入プロジェクト事務局。このプロジェクトの実施にあたり、京都府が公募により、支援事業者として選定したエナーバンク(東京都中央区)がプロジェクト事務局を務める。
オンライン説明会を開催
このプログラムに関するWEB説明会を2025年1月14日、3月12日に14:00より開催する。WEB説明会への参加はウェブサイトより申し込む。
京都府では、京都府では、2050年までに「GHG排出量実質ゼロ」を目指し、徹底的な省エネと再エネの普及促進に取り組んでいる。非化石証書共同購入プロジェクトは2023年も実施しており、エナーバンクは昨年度に引き続き、支援事業者として選定された。
非化石証書による再エネ化のメリット
再エネ価値取引市場は、各自治体や企業等がGHG排出削減に取り組むにあたり、「再エネ価値の調達」という新たな手段を提供するために経済産業省が2022年に創設した。非化石証書は、非化石電源(化石燃料を使用しない発電方法)で発電した電気から、二酸化炭素を排出しないという「再エネ価値」を取り出して、証書の形にて売買を可能にしたものをいう。
非化石証書の導入は環境配慮企業としてPRにつながるほか、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度、国際的なイニシアティブ(SBT、CDP、RE100等)にも活用できる。また、京都府は、この非化石証書共同購入プロジェクトについて、「より安価かつ簡易に環境価値を調達できる仕組みで、建物の老朽化や適地の不足により再エネを導入しがたい、または、電力契約の切替が難しい事業者でも、環境価値を購入することで再エネ化に取り組むことができる」とメリットを説明している。現時点では、非化石証書の共同購入により、小売電気事業者を通じた再エネ電力の購入よりも安価に再エネ電力を調達できる可能性がある。
民間サポーター企業を通じて参加を呼び掛け
エナーバンクは、今回の事業において、環境価値取引サービス「グリーンチケット」のデジタルソリューションと、太陽光発電などの共同購入のノウハウを活用し、京都府内の事業者が費用の低減や事務負担の軽減等を図りながら非化石証書の調達を支援していく。
今後は、この事業を通じて再エネを利用する府内事業者を増やしていくため、府内事業者に対する参加の呼び掛けに協力する民間サポーター企業を募集する。サポーター企業とも連携して「グリーンチケット」を活用した再エネ調達の促進を図るとともに、コストを抑制した再エネの導入を支援していく考え。
同社は、電力オークション「エネオク」事業を中心に、企業や自治体にデジタルソリューションを活用して電力調達や再生可能エネルギー調達をサポートしている。11月に、長崎県とも連携して、非化石証書共同購入プロジェクトを開始したことを発表している。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/a9b6098f-0ce0-4d1f-b78e-81b0b74d662f