富士通(神奈川県川崎市)は11月15日、グローバルサプライヤー12社と、実データを活用したCO2排出量の企業間データ連携による脱炭素に向けた実践を開始したと発表した。この取り組みでは、同社が開発した「ESG Management Platform」を活用し、CO2排出量削減の可視化や測定、最適化までを行う。
秘匿性の高いデータ管理でCO2排出量を可視化
「ESG Management Platform」は、アクセス権を限定した製品カーボンフットプリント(PCF)算出や、PCFデータのみをAPI接続する非中央集権型のデータ管理モデルを導入しており、サプライヤーと連携するデータの透明性と信頼性を担保する。
製品ベースのPCF算出は、製品別GHGのライフサイクルインベントリ分析に基づき、組織ベースのPCF算出は、組織としてのスコープ1・2・3データを納入先別に納品額などで配分しはじき出す。
これにより、サプライチェーンの上流からサプライヤーのCO2排出量をつなげ、サプライヤーが実施した再エネ導入などCO2排出量削減施策の効果を可視化。サプライチェーン全体のCO2排出量の削減努力を価値化し、企業の削減シナリオの立案や施策の効果シミュレーションなどに反映させる。
取り組みに参画する主なサプライヤー企業は、以下の通り。
- アクトンテクノロジィ(台湾)
- 加賀FEI(神奈川県横浜市)
- ネクスティ エレクトロニクス(東京都港区)
- シュナイダーエレクトリック(仏)
- 伯東(東京都新宿区)
- 古河電気工業(同・千代田区)
- マイタックホールディングスコーポレーション(台湾)
- ルーメンタム・ホールディングス・インク(米)ほか
このうち、古河電気工業は、「通信用半導体レーザー製品のPCF連携により、バリューチェーン全体のGHG排出量削減につながる」とコメント。シュナイダーエレクトリック社は、「企業間のバリューチェーン連携促進に向けてはグローバル標準が重要となる」と述べた。
なお、今回の取り組みについては、11月16日開催の「国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)」のジャパンパビリオンで報告する予定だ。
PACT準拠ソリューションで国を跨いだデータ連携が可能に
「ESG Management Platform」のPCF算定手法は、国内外の算定基準に則っており、これまでに、台湾・豪州で相互接続テストに合格している。
今後は、PACT準拠ソリューションを活用することで、国を跨いだCO2排出量の企業間データ連携も可能になると、富士通は説明する。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/e476f5a9-8c0b-4335-a5fa-3558e64f6f16